とてもレビューが難しいイヤホンを手に入れてしまった。
どうも、こんにちわ。ブラックフライデー、楽しんでますか。
本来ならこの期間に、大して思い入れもない商品の絶賛レビュー記事を量産してアフィ売上増して行くのがセオリーなんだろうけど、そんなん知らんわ。
とはいいつつ、今回レビューするのは、現在ブラックフライデーでもセール対象となっているTRI Meteorだ。
このイヤホン、冒頭でも述べた通り、すごくレビューがし辛く難しい。
この記事書くのにも一週間以上掛かっている。
音が好みとか好みでないとか以前に、本機のポテンシャルを発揮できているかどうかも怪しいかもしれない。
どんな製品にも言えることではあるけれども、TRI Meteorは聞く人によって受ける印象がガラリと異なるイヤホンだと思うので、まぁ話半分に見てほしい。
TRI Meteor の基本データ
TRIについて
TRIとは、中華イヤホンでお馴染みのKBEARのお友達(姉妹ブランド?)のオーディオブランドだ。
TRIはどちらかというと高品質路線、KBEARは低価格路線…かと思いきや、KBEARもしっかりと高品質なイヤホンを提供しており棲み分けがさっぱり分からない。
まぁともかく、中華オーディオファンならみんな知っているようなブランドであり、品質に定評があるということ。見た目も中々に個性的であり、魅力的な配色や装飾が施されているものが多く面白い。
ブランドロゴは、ポセイドンやトリトンが持っていた神具であるトライデントをモチーフにしているのだろうか。これもまたユニークなイニシャルとなっており、本製品の装飾を際立たせるものとなっている。
端的に言えば、かっこいい。
TRI製品のユニークさは以下を参照
TRI Meteor について
TRI Meteorは2021年10月29日に発売されたイヤホン。
DDとBAを一基ずつ搭載した、デュアルドライバー構成となっている。
DDには10mmのベリリウムメッキを施した振動板を採用。このDDと高性能なBA(Knowles 29689)を組み合わせることで、高解像度の透明感とディテールを実現しているとのこと。
筐体にはメラミン樹脂素材を使用。
フェイスカバーにはきらめく夜空をイメージしたという銀色の装飾が施されている。
フェイスカバーは1つ1つ手作りされているというが、眉唾ものだ。
そして、注目すべきは公式から以下のようなアナウンスがされているところだ。
【本来の性能を発揮するにはエージングが必要です】
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・ 100~200時間のエージング(慣らし運転)することで、購入当初とは別次元の、驚くべき音質に進化します。 音域はより広くなり、低音・高音の伸びもよくなります。帯域のバランスもフラットになり、ボーカルの定位感・距離感の表現も見事です。 音場も広がり、更なる臨場感を感じられるようになります。原音の再現を極めて重視しており、更にリアルで現場にいるような音楽の臨場感を感じることができます。
怪しい日本語ではあるが、ここまで明確にエージングが必要と説明があるのは珍しい。
TRI製品にはこのような説明が必ずついているので本機に限ったことではないが、少なくとも100時間は聴き込まないとレビューしてはいけないよと言われているようなものだ。
だから聴き込んでやったぜ100時間。
TRI Meteor の外見
まずは外箱。
イヤホンが入っているとは思えないほどの大きさ。
日本語も確認することができる。
開けるとこのように。
まるで宝石箱のようなお出迎えをしてくれる。
すごいスペースの使い方だ…。
この無駄に豪華な上蓋を外すと専用ケースとアクセサリーボックスが登場。
ボックスには、専用クロスとさらにイヤーピースが入っている。
ケースは革製品のような上品さがあり頑丈。デザインも質感も良く大変にGOOD。
ケースからはメンテブラシと2pinケーブルが出てきた。
8芯無酸素銅ケーブルですごい「あみあみ」している。
ポリ塩化ビニルでコーティングされているため、質感はビニールそのもの。
そのため見た目も手触りも良くはない。
ここで本体の登場だ。
まるで宝石のよう。トライデントの紋章が美しい。
多分だけど、これ持って「バルス!」って叫べばラピュタが崩壊すると思う。
クルクル回して撮影。
分厚く綺麗に加工されたメラミン樹脂の筐体はとても高品質。
KZのイヤホンと比較してしまうと、向こうの筐体の加工の甘さがよく分かる。
回路が見える。
TRI Starseaのようにスイッチがあるのかと思いきや、本機には備わっていない。
重さは3.5gを計測。かなり軽い。
TRI Meteor の良いところ
迫力のある低音、広がる奥行きに驚く
身体に響く低音が大変心地よい。
ズシンと響きながらも、耳に煩くない、気持ちの良い低音が特徴と感じる。
ベリリウムの振動板の響きが特に気持ちよく、イヤホンでありながらスタジオ原音のような”残響”を感じることができる。普段から聞き慣れた音源でさえ、随分と違った印象を受けることができるだろう。
また、このように芳醇な低音と魅力的な残響ばかりに注力しているわけではなく、勿論高・中音域もしっかりとフォローを入れている。ベリリウムの主張を殺さないように配置されたBAが中々にいい味を出しており、最終的にはバランス良くフラットな出力となっている印象を受ける。
この残響感が中々に個性的ではあるが、よく落とし込めたというか、無難な着地点になっているチューニングだと感じた。
圧倒的な装着感の良さ
人間工学に基づいた筐体デザインは見た目だけではなく、機能としても申し分なし。
耳に入れた瞬間に気づく、この遮音性。大変素晴らしい。
ここまで遮音ができるということは、かなり密着した作りになっているのだろうけども、本機の軽さと装着性の良さがそれら圧迫感を感じさせない。
長時間の使用にも痛みを感じない。この価格帯で素晴らしい品質と感じた。
充実のアクセサリー。所有欲が満たされる。
およそイヤホンとは思えない箱のデザインから、不必要なまでの充実したアクセサリー群。
そしてラグジュアリー感のある筐体デザインと、とても所有欲を刺激してくる。
およそ倍の値段のKBEAR Auroraと同等、或いはそれ以上の高級感と潤沢さを誇る。
まぁイヤホンなんて上を見れば軽自動車が変えるような金額のものまであるので、こんな程度のアクセサリーで何満たされてんのって思う人もいるかもしれない。
ただ忘れないでほしいのは、これ1万円前後で購入できるイヤホンだからね?
すごいコスパだと思うよ筆者は。
TRI Meteor の残念なところ
ボーカルが出ない
上記で「ベリリウムの主張を殺さないように配置されたBAが中々にいい味を出しており~」と記載したが、正直まだ足りない。
ベリリウムの残響・主張がやはり強く、高・中音域が不足がちになっている。
とくに人の声付近あたりの出力が抜きん出て弱い。
これによって何がおきるのかというと、ボーカルがかなり沈んでしまう印象をうける。
各楽器のパワーバランスがわからないまま演奏隊が張り切って演奏した結果、ボーカルのマスターを凌駕した曲となり結果としてポストロックみたいになってしまう、そんなバンド組み始めあるあるのような感じ。伝わらんか。
ともかく演奏隊の主張が強く、ボーカルがとても聴こえづらい。女性Voだと尚更。
正直、ポップスやロックには向かないと感じる。
エレクトロニカやジャズ・クラシックなど、豊かな音の広がりと残響感を活かせる音源で楽しむべきだろう。
とくにジャズとの相性は抜群に感じる。ウッドベースの振動や残響感を忠実に再現してくれるからだ。
エージングが必須
本機説明にあるように、本来の性能を発揮するにはエージングが必要。
初だしで本機を聴いたとき、「うわっ つまんな」と正直に思った。ハズレだと思った。
全体的に沈みがち、遠くの方で音が響いている印象。2000円クラスのレベル。
ボロクソレビュー書いて即売るか、と思っていた。
それぐらい最初はダメダメで有ること注意してほしい。本当に良くない。
100時間以上の、と説明があるが、まぁ50時間超えくらいから聞ける・楽しめるレベルにはなると思う。
購入当初はピンクノイズを流しっぱにして放置することを強く推奨する。
TRI Meteor の総評
纏めると、以下の通り。
ということで、とても扱いづらい印象を受けた。
映画・ゲームのサントラ、ジャズやテクノを聴くときに使おうかなぁという感じ。
全ての曲をバランス良く面白く聞かせてくれるわけではないので、普段遣いは難しいかな。
シチュエーションにハマる人であれば、品質自体は大変良いので試してみても良いかも。
同じフラット寄りなら水月雨 Ariaのほうが個人的には好き。
全ての曲をバランス良く面白く聞きたいのであれば、NICEHCK NX7 MK3がおすすめ。