筆者は今現在、デスクトップPC用DACとしてTOPPING D10sを利用している。
コンパクトで高性能、デザインもシンプルでかっこよく、かつお値打ちという事で大変に気に入っている製品だ。
で、この度オープンエアーヘッドホンを導入するにあたり、ヘッドホンアンプを探すこととなった。
前述の通りTOPPING製品を愛好している身であるが故、白羽の矢が立つのも同社製品であるというのは自明の理。
色々検討した結果、結局同社製品を導入することとした。
今回はそんなTOPPING A50sのレビューを記していこうと思う。
TOPPING A50s の基本データ
TOPPING について
TOPPINGとは中国広州に拠点を置くオーディオメーカーである。
多種多様なアンプを販売しており、価格帯は文字通りピンからキリまで。
公式のサポートが厚く、クレームの対応から不具合の対応まで細かく対応してくれているのがポイント。
細かなファームアップも提供されており、品質音質共に信頼がとても高い。
中華アンプとは思えない高クオリティを誇っている。
伴って、世界中のオーディオファンを魅了し、躍進している起業である。
TOPPING A50s について
それではTOPPING A50sについて触れていこう。
TOPPING A50sは2020年9月にリリースされたヘッドホンアンプ/プリアンプである。
A50sはP50やD50sといった同社製品と組み合わせて使用することを前提にデザインしたモデルとなっている。
もちろん、これら製品以外での利用も問題なく可能。
A50sは筐体にアルミニウムシャーシを採用している。
オペアンプと電源から生成された熱を周囲のアルミニウムケースに伝達し、熱を放散するというファンレス設計故にノイズが少ないのが特徴とのこと。
またつなぎ目やネジなどの組み立て感が全く無いというのも特徴的。
Apple製品との組み合わせも良好なイメージ。
フラッグシップモデルのA90にも採用されている超高性能なバランスNFCAモジュールが搭載されているという。
なんでも「どんなヘッドホンに対してでも、歪みとノイズに対する高い耐性を保証する」のだそう。
すごい自信だ。
TOPPINGは数多くのヘッドフォンアンプをリリースしているが、同社製品の中でA50sはとても丁度いい感のあるヘッドフォンアンプとして存在しているように思える。
薄型コンパクトであり、スタイリッシュ。それでいて必要最低限に少しの+といった機能を持ち合わせている。松竹梅で言えば、間違いなく竹。
わかりやすい図は以下の通り。
A50sは6.35mmに加え4.4mmの出力にも対応している。
自分の利用用途としてヘッドフォンプラグの6.35mmは必須要件。
それでいてこの価格帯で4.4mmもOKというのが決め手となった。
また、接続されているヘッドホンを外すと、自動的にプリアンプモードに切り替わるというシンプルさも嬉しいところ。
留意点としてはGAINについては+6dbのみに対応しているということ。
まぁGAINは別に後からどうとでもできるから基にするほどでもない。
また同価格帯で名機「iFi-Audio ZEN-DAC」が存在しており、評判や機能面において本機は少し見劣りしてしまうというところがある。
まぁあえて利用者が少ない方を選ぶことは無いからなぁ、しょうがない。
筆者は前述の通り、TOPPINGに信頼があるので本機を選んでいる。
また出力経路という面でも、A50sのほうが自分の環境にあっていたという状況でもある。
何より、ZEN-DACを採用した場合はTOPPING D10sが無駄になってしまうしね。
TOPPING A50s の外観
まずは外箱。
意外としっかりしている。
開けたとこ。
箱の中はほぼ緩衝材になっていた。
本体下に電源系が収納されている。
内容物はこの通り。
プラグは換装式になっている。初めて見たこのタイプ。
日本式(100V)プラグにしたところ。
本体接続部分はごく普通のプラグであり互換性がありそう。
本体。すごく薄い。
ひんやりとしてずしりと重く、堅牢な作りをしている印象。
つや消し処理が施された筐体となっており指紋などの汚れがつきにくい。
DC入力と背面はRCA入力/出力が1基ずつのみのいう、大変シンプルな構造。
自分の環境にはこれがベストマッチ。
TOPPING D10sとの比較。
TOPPING D10sよりも全体的に小さいことがわかるだろう。
それ故重ねると少々アンバランスになってしまうが、まぁ気にならないレベル。
TOPPING A50s の良いところ
クリアで解像度の高い出力
最初の印象としては、全くノイズの無いとてもクリアな出力だなということ。
音源に対して味付けなどは一切せずに、各音域をバランスよく出力されている。
試しにTOPPING D10sとは異なるDACに変えてみると、そのDACの特徴をそのままヘッドフォンで感じることができるぐらいの忠実さを感じた。
解像度は極めて高く各楽器の繊細な箇所、例えばウッドベースの弦の揺れであるとかピアノのペダルのきしみであるとか、まで聞き取ることができた。
出力レベルも必要を満たしており十分パワフル。
特に4.4mm出力の元気さはとても高評価。
ポータブルのUSB DACとはやはり雲泥の差で、音の揺れというか不安定さがまるで無い。
どっしりと構えられた強靭な筐体はやはり伊達ではないということか。
6.35mmと4.4mmが使える
これは自分の環境の話ではあるのだけど、自分の資産が使えるのはありがたい。
6.35mmは各ヘッドフォンを利用するのに必要不可欠だし、リケーブルが可能なイヤホン・ヘッドフォンであるのならばバランス出力にして4.4mmで聞くことだってできる。
むしろ最近の中華イヤホンは大体がリケーブル前提であり、4.4mmを日頃から利用している人だって少なくはないだろう。
そのような環境をすぐにデスクトップオーディオ環境に流用できるのはとても魅力的で便利だとは思わないか。
見た目がかっこいい
ゴテゴテしておらず継ぎ目のない黒光りした筐体デザイン。
金色のプラグホールがアクセントになりとても高級感を感じる。
ボリュームノブも角が取られており手触りが良い。
やはり上記のように組み合わせると少しアンバランスな感じになってしまうが、まぁ許容範囲。
ゆくゆくはD50sに変えて統一感を出してみるのもいいかもしれない。
コンパクトで取り回しもし易いため、デスクトップオーディオ環境としてとても構築しやすいのも良い。
筆者は「TOPPING D10s」→「TOPPING A50s」→「Fosi Audio TB10A」という経路で出力しているのだが、それでも全くかさばらずに机の隅っこでちょこっとそびえ立つ程度で済んでいる。
ケーブルを30cmで収めれば、ノイズも全く乗らずに構築できるため大変におすすめできる。
TOPPING A50s の残念なところ
今のとこ全く無し。
まぁヘッドフォンアンプにケチつけるほうが難しくはあるが。
強いて言うのであれば、結構筐体が熱くなるというところか。
筐体全体がヒートシンクになっているのだから当然のことではあるのだが、少なくとも常に40℃以上は保持している印象を受ける。
風通しの悪い場所への設置や、これから来るであろう真夏での使用時にどうなるかが少しきになるところ。
TOPPING A50s の総評
音も良くてかっこよくて必要十分な機能を備えた優れたヘッドフォンアンプ。
利用者が少ないゆえ情報が少ないというのが気になるかもしれないが、少なくとも筆者は大変気に入っているし満足している。
6.35mmと4.4mmの資産がある人、且つTOPPING製品に信頼をおいている人は間違いなく満足できるはずだろう。