まず最初に、本記事はElevoc社様より商品を提供頂いた上での記事となる。
提供品だろうがなんだろうが、正直に書き記すスタイルは変えるつもりは無いので、偏見無しに一読いただきたい。(テンプレ)
本製品は現在、応援購入サイト「Makuake」にてプロジェクトが実施中であるため、市場には出回っていない。(終了)
今回はサンプル品を提供頂き、先行レビューを行っている。
プロジェクトについては以下を参照。
Elevoc Clear の基本データ
Elevocについて
Elevocは、2017年に深圳で創業した企業だ。
正式名は「大象声科(Elevoc Technology)」となる。
Elevocは、ディープラーニングと信号処理技術を組み合わせて、バックグラウンドノイズから音声だけを忠実に抽出することが可能となる「Vocplus」なる特許技術を所持している。
大手の企業にこの技術が採用されており、シャオミやOPPO、vivoなど中国のスマホメーカーのほとんどが採用している他、Qualcommやintelといった企業までにもサービスを提供している模様。
詰まるところノイズキャンセリングに定評のある会社、ということだ。
まぁ「定評がある」どころの騒ぎじゃあないぐらい、業界への貢献度があると思うが、日本語の情報が少ないので真偽の確かめようがなく、詳細も解らない。
なぜなら、日本での展開は本製品である「Elevoc Clear」が初だから。
この製品の動向で日本での展開をどうにかしていくつもりなのかもしれない。
わぁ、この記事の責任重大だ。しらんけど。
Elevoc Clear について
製品情報としては以下の通り。
スペック値について書き出してみると以下の通り。
Elevoc Clear | |
---|---|
Bluetooth規格 | 5.0 |
ドライバー | 1DD(10mm) |
SoC | 不明 |
対応コーデック | SBC(AAC?) |
操作方法 | タッチ |
防塵防水等級 | IP54 |
連続再生時間 | ノーマルモード:5時間 ANCモード:6時間 |
充電時間 | 2時間 |
充電端子 | Type-C |
その他 | 最大約-90dBのANC Vocplus™×骨伝導センサー×3マイク 外音取り込み機能(アンビエントサウンド) |
対応コーデックについて記載が無かったため、問い合わせたところ「SBC」と回答があった。
実機で確認したところ、AACでも接続が出来たため、一応記載している。
公式としての見解では無いので参考程度にしてほしい。
本機の特徴は、なんと言っても公表「最大約-90dBのANC(アクティブノイズキャンセリング)」だろう。
これから本記事で度々比較していく強強ANCTWSことEarFun Air Proですら、最大-38dBのANCとしているのであるから、如何にトンデモな数値であるかが解るだろう。
驚異の集音性能にも注目したい。
前述したVocplusにプラスして、骨伝導センサーを搭載し、更に3マイクを備えている。
この3つのマイクが360°全方向からの音声を収集し、Vocplusがそれを解析し「人の声」と「環境音」を正確に分別、ノイズを効率的にフィルタリングするという。
恐怖を感じるほどの音声通話への執着。絶対ノイズころすマン。
Elevoc Clear の外観
今回の提供品は上記の通り。
本体と革製ケース。
まずは本体のほうから。
日本語表記は見当たらず。
開けるとこんな感じ。特に言うことはない。
付属品はイヤピとType-Cケーブル。
イヤピは上記のように各サイズ6パターンも含まれていた。
本体。
つや消しマット加工のラバー素材で持ちやすい。
もちろんType-C。
バッテリーインジケーターと確認スイッチが備わっている。
形状から解るように自立できないタイプ。
開けたところ。
収納方法はAirPodsインスパイヤタイプ。
マイクホールがそれぞれ確認できる。
形状はやっぱり耳うどん(AirPods)タイプ。
ANC搭載耳うどんTWSではおなじみのもっこりヘッド。
AirPods ProとかEarFun Air ProとかMoondrop 猫餅とか、だいたいコレ。
イヤホン込本体の体重測定。56gを記録。
イヤホン自体は4.8gを記録。
ANC搭載機器にしては軽いねえ!
続いておまけの革ケース。
封から開けてびっくり、漂う本皮の香り。本物だコレ。
手触りや質感はまぁそれなりに良い。
が、鞣しが甘い印象を受けるうえ、繋ぎ合わせも趣味のレザークラフト感が拭えない。
本体を入れるとこんな感じ。
すこし余白が生まれるため、充電ケーブルとかも入れられそう。
Elevoc Clear の良いところ
さすがのANC性能だ
体感、AirPods Pro、或いはEarFun Air Proに匹敵するANC。
この価格では中々の性能と評価できる。
電車の音から掃除機の音、換気扇の音やテレビの音などバランス良く打ち消してくれていた。
また、通話使用時には片耳でもしっかりとANCが作動するのは大変に好印象。
相手の声がとても聞きやすくなり、テレワーク使用時に大変に役に立つだろうと感じた。
ただし、本機は中高音域のNCが他機種に比べて甘いと感じた。
ANCの仕組み上、高周波が苦手なのはしょうがないところではあるのだが、本機は比較2機に比べてこれらを通しやすい印象を受ける。
それは翻って人の声を聞きやすいということにつながるので、装着したまま日常生活を過ごすことには向いているかもしれない。
通話音声品質がバカ高い
とんでもなく通話品質が良い。
環境音もりもりの中での通話を試したが、音声のみがとてもクリアに届く。
売り込み文句に偽りなしと感じる、大変質の良い通話が可能だ。
比較的ノイズの近いキーボードの打鍵音を発生させながらの通話も全く問題無し。
遠雷のように彼方で微かに聞こえるのみであり、通話への影響は何もなし。
なるほど、誇る技術は伊達じゃない。
電波強度がとても強い
壁を三枚挟んでも、10メートル以上離れても、電子レンジの隣で使用しても、通勤ラッシュ時に使用しても、全く途切れない。電波強者。
EarFun Air Proもそうだったので、まぁSBCの強みというのもあるのかもしれないが、この基本はやっぱり重要。
繋がってなんぼ、電波干渉を受けなくてなんぼ。基本中の基本。
AVIOT君、聞いているか。
Elevoc Clear の残念なところ
音楽再生はダメダメ
通話時は相手の声もこちらの声も非常に高品質なのだが、こと音楽再生に関してはまるでダメ。
全ての音域が沈み気味でもこもこ音質。
低音はパワーを感じるが、まぁ1DDの想定の域を超えない程度。
高音域に関してはIPX7相当機に現れるトップの切れの悪さを感じる。IPX7対応じゃないのに。
ボーカルも沈み気味であり、全体的に解像度不足が否めない。
正直、本機での音楽鑑賞はまるで楽しいと感じない。
ちなみに、ガジェオタでも何でもない嫁氏に何の前情報も与えず本機を試聴させたところ、「ボーカルが遠くに聞こえる。音悪い。」という玉音を賜っている。
つまり普遍的な見解からして、本機は音楽鑑賞に向いていないと言える。
外音取り込み機能が中途半端
例に漏れず外音取り込み機能が微妙。
ホワイトノイズ多めで、外音が遠くに聞こえる。音場が解らない。
まぁ、そんなもん。
大体のTWSの外音取り込み機能は無くていいレベルなので無理につけなくていいと思う。
その分コストカットして別の機能開発に費してほしい。
日本語が変
これもあるある。説明書が変。
具体例は以下の通り。
なんだ「高音」って。そもそも高音モードなんてあるんですか。
ちなみに英語版は以下の通り。
外音取り込み機能(アンビエントサウンド)のことだよね。知ってた。
何をどう間違えたら「高音」になるのか、そのプロセスに興味が湧く
こんなのがいくつかあるが、まぁ中華あるある。
これが楽しみの一つではあるけど、一応指摘しておく。
Elevoc Clear の総評
ということで総評は以下の通り。
本機は音声通話専用端末と割り切るべし。
それ以外の用途には向かないと断言できる。
本機は人の声を届けることに注力した製品であり、ビジネス用途に使用するものなのだ。
それはMakuakeでのアピールポイントの記載からも解るものであり、本機のコンセプトなのだろう。
そして、本機はそのコンセプトを忠実に体現した製品と評価できる。
テレワークが主流になっている昨今、本機が役に立つシチュエーションは限りなくあるはず。
もし興味があるのならば、プロダクトを応援してみても良い、かも?