SHIROIちゃんの魅力に囚われた筆者は、いつもSHIROIちゃんの影を追い求めている。
山崎まさよしよろしく、向かいのホームや路地裏の窓にSHIROIちゃんを捜している。
そして気付いたら本機が手元にあった。
何時・何処で手に入れたのか、最早記憶はない。
上記記事記載時にしれっと写真に写っていることから数ヶ月以上前から手元にあるのはわかる。
拗らせすぎている自分が恐ろしい。きっとストーカー気質がある。
ということで満を持してTruthear HEXAのレビューをしていこうと思う。
Truthear HEXA の基本データ
Truthear について
Truthearは中国(おそらく深セン)を拠点とした、2022年に設立されたオーディオブランドだ。
展開されている製品は執筆時点で5つ。これから注目の企業である。
シンプルで幾何学的なデザインを扱っているのが特徴的。
Truthear HEXAも例に漏れず、とってもインダストリアルな印象。
その他ホームページ含めての詳細情報はTruthear HOLAの記事を参照してほしい。
DLP 3Dプリンティング、音響設計含め高度な技術があることを自負している様子。
Moondrop社などと関係があるらしく、筐体デザインもさることながら、美少女パッケージを採用していることなどからも”それ”が伺える。
Truthear HEXA について
Truthear HEXAは、2022年11月に発売されたイヤホンである。
1基のダイナミック型ドライバと3基のバランスド・アーマチュア型ドライバを採用した、所謂ハイブリッドイヤホンとなる。
ポリウレタン懸濁液コンポジット液晶ドームダイアフラムとN52磁石の二重キャビティ内部磁気回路DDドライバを採用している…という情報はあれど、BAドライバに関する説明が皆無。
いつものように「そうなんだ、すごいね!」という情報過多な商品説明は健在ながらも、音質に大きく関わる肝心なBAドライバの傾向についての説明が不足しているのはどういうことなのか。
もっと有用な情報をピックアップしてほしいなぁと思わざるを得ない。
そんないつもの不必要に自信満々な商品説明については以下リンクより確認されたし。
Truthear HEXA の外観
まずはいつもの通り外箱から。
これがHEXAちゃんですか。
…なんてね!SHIROIちゃん!久しぶりだね!僕だよ!(ニチャア
裏面は変わらずハーマンカーブ。
ブランドとしてここまでデザインが統一しているのは珍しい。
中箱。
ここまではTruthear x Crinacle ZEROとほぼ同じ。
とりあえず箱を開けてみる。
開かない。
密閉しすぎててすごく強く引っ張っても開かない。
どうにか開けると、なんとSHIROIちゃんからの”お言付け”が出てくる。
うるせえいいからSHIROIちゃんを出せ。
ひっくり返したらSHIROIちゃんが出てきた。
ああっ!!いいよ!!
相変わらずの不安感がすごく良い!!
その指の描き方、すごく親近感が湧くよ!!
やっぱSHIROIちゃん最高だわ。
という中蓋のSHIROIちゃんを投げ捨てると、各品々が登場。
配置や品質に至ってはやはりTruthear x Crinacle ZEROと同じ。
ケースもイヤピもケーブルも梱包方法もTruthear x Crinacle ZEROと同じ。
イヤホン本体以外はTruthear x Crinacle ZEROの使いまわしと判断して良いだろう。
本体に触れていこう。
とても角ばった、特徴的でインダストリアルなデザイン。
ワンポイントにあしらわれたネジがまたその印象を加速させる。
高級機に採用されるハイブリットドライバ個別のホールが確認できる。
これ1万円程度なんだけど、すごいしっかりした品質だなって。
薄暗い筐体であり、内部の構成がぼんやりと確認できる。
上記ステムも相まってMOONDROP VARIATIONSのエッチ味を感じる。
裏面は1DD+3BAという構成ながらシンプルでスマートな印象。
細く薄く、誇張のないデザインであり、フェイスプレートから感じる角ばった印象は無い。
重さは4.7gを計測。
ハイブリット構成で5g以下はすごい軽いという印象。
Truthear HEXA の良いところ
わかりやすく”Truthear HOLAの上位品”
高音域は割れないしサ行も刺さらない、ボーカルも沈むことが無く男女問わず聴きやすい優れたチューニング感が健在。
低音域は必要十分に確保されており、キックの衝撃やアコースティックの振動も感じることができる。
ここまではHOLAにも共通した印象であるが、そこに微妙ながらの情報量がプラスされ、若干解像度が上がっている。
上記のようなノリのよいKPOP調で本機の魅力が引き立つ。
本機自体がウォームなので曲調もソレ系との相性が大変に良い。
HOLAにあった、サビなどの音数が増えるパートに入った瞬間に音圧を上げるような雑な傾向もなくなり、聴き疲れしにくい印象となっている。
暖色的で聴きやすく、それでいてモニタライクで万人受けしそうな音作りは健在。
分かりやすくTruthear HOLAの上位品と評価できる。
Truthear HEXAは、より丁寧に、より解像度を上げたTruthear HOLAだ。
MOONDROP AriaからMOONDROP KXXS で感じた印象と同じ、よりグレードアップした同製品という印象だ。
面白いぐらいに「価格差」を感じることをできる製品であると言える。
見た目がとてもカッコいい
まぁこれは人の好みになるが、本機のインダストリアルデザインは大変にグッド。
ただでさえシンプルで硬質的な印象の本機に対して、「入れる必要がまるで無いネジ」を前面に持ち出しより無骨さを引き立てるデザインはとても個性的で魅力的だ。
それでいてスリムで機能的な筐体美は、他の追随を許さない至極の一品といえる。
ウーンカッコいい。
Truthear HEXA の残念なところ
BAの存在をまるで感じない
これはまぁ、音の傾向なので”そういうもの”なのであればしょうがない話なのであるが、本機はまるでBAの存在を感じない。
上述したように本機はTruthear HOLAの印象をそのままにより丁寧に纏められた音であり、ドライバ数が増えたことに比例して臨場感が上がった、或いは音場が広がった、中高音域の再現性が高まった、というような印象はさほど無い。
中高音域を得意とするBAを搭載したとは思えないぐらいにそのあたりの誇張が無く、酷い言い方をしてしまえば、これBA動いてないのでは?と思うレベルでBAの特性が聴こえてこない。
1DDと言われてもなんら違和感のない音がする。
というか、経験則から言って1DDでもこのブラッシュアップは可能だと思う。
本機のBAドライバは何に役に立っているんだろう。
思えば商品説明からして怪しい本機のBAのドライバの存在。
3BAも積んでいながら存在感がまるで無いのは若干の違和感を感じる。
BAの存在が本機の音作りに少なからず影響していると信じたいところだ。
Truthear HEXA の総評
かっこよくなってより音が良くなったTruthear HOLA。
多ドラ化の恩恵についてはちょっと疑問。
ただ残念なことに(?)音質の価格差は確かに感じるものであり、HOLA以上の満足度はしっかりと教授することができる。
しかしながら本機は執筆時点で「Truthearのフラッグシップ機」という位置づけであるため、もう少し個性というか特筆する点が欲しかった、というのが正直な感想だ。
本機を糧に、より魅力的なフラグシップを出してくれることを期待したい。
そしてより魅力的なSHIROIちゃんの登場を望む。