前回の浮気記事を投稿してから半日足らずで発送通知が来て、次の日には到着した。
ガジェットが届いたら早速使ってみたいというのが人の性。
しかして本機は平日朝9時に届きやがったせいで、夜までお預けとなってしまった。
夜にしか使えないエッチじゃないオモチャはこういう弊害がある。
そうだ、昼寝すればいいじゃん。
ということで、半ばやけくそで昼寝したりもした。
おかげで、昼夜それぞれで本デバイスを使用した睡眠をとる、という体を張った商品体験を味わうことができた。
本記事では、その使用感や感想について述べていく。
Bose Sleepbuds II の基本データ
Bose Sleepbuds II について
前回の記事のおさらいになってしまうが、ご容赦願いたい。
「BoseのSleepbudsシリーズは、すみやかな寝つきと深く途切れない眠りをアシストするデバイス」だそうである。
超小型の筐体を採用し、寝返りを打つなどしても耳に痛くなく邪魔にならない構造をしている。
ノイズキャンセルではなく、「ノイズマスキング機能」を搭載しているのが特徴。
これはパッシブノイズブロッキングとノイズマスキングサウンドを組み合わせて、不要なノイズをマスキングする、つまり外部からの不快な音を遮断する仕組みであり、逆位相でノイズを打ち消すものではない。
また、本機ではアプリ内に用意されたマスキングサウンドしか再生することができず、任意の音楽をきくことは出来ない。
あくまで「睡眠補助デバイス」という体を保ったものであり、汎用性は皆無だ。
そのため、いつものレビュー品のようなスペックについて触れることはしない。
なぜなら触れるだけ無駄だから。
なお、前機Bose Sleepbudsは「完全に充電されない、あるいは予期せず電源がオフになる」という不具合があり、いくつかのファームアップや交換対応といった対処を行ったものの、根本的な改善に至らず全品回収されるといった悲しい歴史を持つ。
詳細は以下を参照。
Bose Sleepbuds II の外観
まずは外箱。
Boseらしいカッコよくシンプルでしっかりとした箱。
ゼンハイザーとかもそうだけど、外国メーカーの箱デザインはカッコイイよなぁ。
箱を開けると、このようにNIVEAクリーム本体が出てくる。
コンビニのおにぎりみたいな開封番号がついたテープがくっついていた。
開けるとこんな感じ。か…かっけえ…。
つや消しの淡いゴールドを纏ったボディに、同じく統一されたバッテリーインジゲータ。
手触りやスライドして開ける感触がとても心地よく、永遠に触ってられる。
総じて高級感があり所有欲が満たされる。
しっかりとした筐体と機構が美しく、素晴らしい出来と評価せざるを得ない。
背面はこんな感じ。
底面は全面滑り止めのゴム。充電端子はType-C。
スライド機構までしっかりと作られてて…ハァーすッげ。
普段から中華端末使ってるオイラには刺激強いっすわ(貧乏人の感想
付属品はシンプルにこんな感じ。
替えの大きさが異なるウイングとケーブル。なんだか医療器具みたいな印象を受ける。
本体はこのような感じ。
ちょっと触ったら凹むぐらいのふわふわな素材。
ただし、BOSEの記載がある本体部分は当たり前に硬い。
装着してみると、とても軽く違和感を感じない。
通常の耳栓と同じか、或いはそれよりも軽いとすら感じる。
ドライバ積んでるのにすごいな、と素直に驚いた。
平たく薄いため、寝返りをしたり横向きで寝たとしても違和感は感じなさそう。
さすがに睡眠用をうたってるだけあって研究しているなぁという印象。
Bose Sleepbuds II のソフトウェア
Bose Sleep というソフトウェアを使用して筐体の設定、及びマスキングサウンドの選択が可能。
以下キャプチャを参考いただければ分かる通り、装着の仕方からフィット感の確認まで丁寧に教えてくれる。
見て察していただける通り、すごい丁寧。
いつになったら使用できるんですかね?とうんざりするぐらいに懇切丁寧に解説してくれる。
このチュートリアル地帯を抜けると、いよいよマスキングサウンドの選択画面に移ることができる。
…と思ったらまたチュートリアルだぜ!
この製品買う人はもういいよ知ってるよっていう情報を教えてくれるぞ。
これが終わってからやっとサウンドの選択画できる。
以下キャプチャのように、数々のサウンドを選択することが可能。
なお、選択したサウンドの初回転送には結構時間がかかる。
寝る前にこのサウンドで、といったことはまず出来ないので、予め転送をしておくことが必要だ。
ノイズマスキングは「眠りを妨げるノイズをカバーするために最適な眠りのためのサウンド」
風景は「自然界などから聞こえてくる心地よいサウンドが眠りに誘います」
静けさは「寝る前に心を落ち着かせ、リラックスさせるサウンドです」
という説明。
各項目を個人的に概要説明すると、ノイズマスキングはホワイトノイズ、風景は環境音、静けさはヒーリングミュージックといったカテゴライズといったところか。
その日の気分、寝る場所の環境に合わせてそれぞれから選択し、心地よい睡眠を提供できるというわけだ。
Bose Sleepbuds II の使用感
姿勢に伴う装着感への影響
装着感は上記の通り悪くはない。が、やはりTWSはTWSだ。
全体は柔らかく装着感はとても心地よいものだが、ドライバ本体は小さくともやはり存在している。
これが場合によっては気になってしまう。
横向きで寝る場合、例えば回復体制のような寝相の場合、耳珠にドライバ本体が直撃するために長時間の装着に影響を与える。
わかりやすい図解は以下の通り。
回復体制とは上記のようなスタイル。つまり横向きの状態。
本来は応急処置の際に採用される姿勢であるが、気道確保の楽さや精神の落ち着きにも有効であるため、睡眠が浅い人や寝付きが悪い人が多く採用していたりする。
自分もその一人。
そして耳の構造。
耳珠とは上記のとおり、なんだかよくわからん突起のことである。
長時間の横向き姿勢をとった場合、この箇所に負担がかかる。
つまり、回復体制(横向き)の時に枕に押し付けられた耳珠がドライバ本体を圧迫することにより、長時間の装着に痛みが伴ってしまうのだ。
公式の発表では「横向きでも心地よい睡眠提供できるで」とあるが、まぁ耳の形は千差万別十人十色。
自分にはどうやら少し影響があったらしい。
ノイズマスキングについて
本機のウリであるノイズマスキング。これがまぁ使用どころが難しい。
というのも、前回の記事でも危惧した通り、該当サウンドを垂れ流さないとただの耳栓に成り下がるということだ。
つまり何かしらの音を流し続けることになるのだが、この状況が生きる(本機の真髄が生きる)シチュエーションがかなり限られているように思える。
日常生活、常人であれば夜に寝て朝に起きるものだ。
例外として、夜勤勤務や水商売で昼夜逆転しているような生活を送っている人がいるだろう。
常人にフォーカスを当てた場合、夜は周りも静かなので”不快な音”が身の回りでなり続けるような状況はまず無いのではなかろうか。
家の目の前で昼夜問わず工事を行っている場合や、昼夜逆転している人と同居している場合を除き、そのような状況に置かれることは無いだろう。
静寂な環境下で使用する場合であれば、わざわざ音を鳴らす必要がない。
そのような状況下の場合、「不快な音を心地よい音で遮断する」という本機の機能は、かえって睡眠を阻害するのである。
より安定した静寂を求めるのであれば、ノイズキャンセリング機能の方が有効ではなかろうか。
翻って昼夜逆転している人にフォーカスを当てた場合、この機能が真価を発揮する。
屋外からの騒がしい騒音や近所の人の話声や、周波が安定しない音、つまりノイズキャンセリングで相殺することができない音が発生する環境下においては、他製品の追随を許さないだろう。
使用シーンで言えば、キャンプ場に響き渡る誰かの「いびき」などでは、と考える。
まぁキャンプ場に問わず、クッソうるせえ「いびき」或いは寝言といった環境音に対しては効果が強く見込められ、マスキングによる心地よい睡眠を得ることができるだろう。
他、水商売あがりで昼にしっかりとした睡眠を取りたいという人。
「磯野、野球しようぜ!」といったクッソうるせえ野球少年の爽やかな掛け声を打ち消してくれるだろう。
事実、夜に使用した際には逆に耳障りなノイズマスキング音楽であったが、昼寝使用時にはとても良い睡眠を得ることが出来た。
これ重要な話ね。
つまり、就寝環境が五月蝿くなければ、本機を使用する意味が全く無いのだ。
更に言ってしまえば、本機は生体が発する音に強く作用するが、それ以外には効果が薄い。
そして、本機は睡眠アシストデバイスであり、睡眠導入デバイスではない。
ノイズマスキングサウンドについて
上述したとおり、本機にはノイズマスキング、風景、静けさといったジャンルの音楽の提供が行われている。
「静けさ」はヒーリングサウンドのため音楽としての主張が強く、ぶっちゃけ言えば騒がしい。
なので多用することになるのは「ノイズマスキング」「風景」になると思う。(個人の感想
自分がお気に入りなのは以下の「Strarboard」。
カヤック、或いは水上コテージで昼寝をしているような、とても心地よい音楽が提供される。
波が船体に打ち付くような音、それに軋む木の音、乾いた風の音、といった環境音を感じることができる。
これらサウンドはとても上質で心地よい。
初聞きの際、Bose製品を経験している人であれば笑ってしまうことだろう。
なぜならこの環境音ですらBoseなチューニングがされているからだ。
自己主張強ぇなオイと思ってしまうが、まぁ普通はそこまでは気にならないかもしれない。
ただ、あの独特な「Boseな音」が嫌いな人は無理だと思う。
で、この環境音は心地よいのだけど、本体そのものの遮音性が今ひとつのためちょっとした弊害がある。
それはマスキングサウンドが現実の音と混じってしまうということだ。
例えばこの肌寒い季節、飼い猫が「寒い、布団に入れろ」とうるさい季節。
上記「Strarboard」を聞きながら寝ている間、「フフン、今の俺はモルディブ在住だぜ」と頭がぶっ飛んでいる最中に、どこからか「にゃーん」と聞こえて来たりする。
え、ここモルディブだぜ?海の上だぜ?ウミネコってマジで猫なんやなぁ なんて笑えるわけもなく、実物の猫が耳元に立っている。
本機の遮音性が少し弱いがためにこのような状況が発生する。
ウレタン性イヤーピースなどを採用していればもう少しまともになったかもしれないが、それはそれで劣化が早いものなので悩ましいところではあるか。
また、もう少し騒がしめのマスキングサウンドを選択することでこれら問題を解決することができるだろうが、それがやかましくて寝れないなんていう本末転倒な事態にも成りかねないだろう。
Soundcore Sleep A10やAmazfit ZenBudsなどの類似製品が数あれど、ここらの問題は正直変わらないものと判断している。
購入前にはしっかりと利用環境を考慮しよう。
総評、使用シチュが限られる製品。自分はいらない。
纏めると、以下の通り。
ってな感じ。
寝るだけに使用するのでなく勉強シーンにも使えるかな?とは思うが、自分だったらジャズとか聞いたりしてるので、やっぱり自分のスタイルには合わないかな。
本機は音楽再生を行うことが出来ないため、そういった柔軟性に乏しいところも本機のウィークポイントかもしれない。
結論、自分のような睡眠障害持ちには有効ではないデバイスだと思う。
あくまで、周りの環境音(生体が発する音)がうるさいと感じている人に向けたデバイスであり、質の良い睡眠を約束するものでは無いということにご注意だ。
質の良い睡眠を求めているのであれば、MOLDEXの耳栓、或いはLoop Quietを装着したほうがぶっちゃけマシ。
コレに伴い、Sleepbuds II 含め、Amazfit ZenBuds も自分には不要と判断した。