うわあああ!澪ホンだ!!!
ということでついにAKG K701がやってきた。
もはや説明不要ではないかと思われる、あの澪ホンだ。
本記事ではそんなAKG K701についてレビューしていく。
AKG K701 の基本データ
AKG について
AKGとは、オーストリアで生まれた音響機器の設計と製造を行っているメーカーである。
コンデンサーマイクやらヘッドフォンやらを数多く作っており、音声制作現場では必ず見かけるぐらいスタンダードなブランドだ。
(余談ではあるが、何故か映像制作現場では圧倒的にSENNHEISERが多い。)
読み方は「アーカーゲー」。だと思っている。そう信じている。
創立は1947年と超老舗。
その後紆余曲折あり、何だかよくわからない状況になった結果、Samsungの下についた。
Galaxy S7ぐらいの頃からスマホを購入するとAKGのイヤホンがついてきた記憶があり、当時の筆者が「何かの付属品程度になってしまったのか」という悲しい気持ちを抱いていたのを覚えている。
というのもこのAKGのとある製品は、日本人オタクにはなんとも馴染み深く、そして因縁深いものであるからだ。
その製品こそ、このAKG K701なのである。
AKG K701 について
AKG K701とは、AKGのKシリーズ”元”フラグシップモデルである。
美しいデザインと良質な音声出力により多くのファンを会得しており、何度ものマイナーチェンジを重ねているオープンイヤーヘッドフォンだ。
最近流行りの平面駆動などでは勿論なく、1基のダイナミックドライバをそれぞれ搭載した標準的な構成ではある。
しかしながら、独特なオープンイヤー構成とTWO-LAYERダイヤフラムの搭載、そしてリボン状のワイヤーを使用した「フラットワイヤー・ボイスコイル」を採用することで中高音域の再現性と分解率を高めた出力を可能としている、とのことだ。
そしてこのAKG K701、オタク界隈では「澪ホン」と言われている。
あの「けいおん」というアニメの登場人物である「秋山澪」が使用していたが故のネーミングである。
「こいつが使っているヘッドフォンはなんだ」
「AKG K701らしい」
「高校生の癖に良いヘッドフォンを使いやがって」
「そんなことよりあずにゃんの髪の毛食べたい」
当時の筆者少年は上記のようなレスが飛び交うさまを気が狂うほど見てきた。
無論、筆者少年以外のオタク共もこのような流れを至る所で確認することになり、結果としてAKG K701は品薄状態と相成った。
そしてあろうことか、けいおんのアニメ終了後の翌年にAKG K701は生産中止となるのである。
2019年に再販となるのだが、それまでの間「数多のオタクから羨望の眼差しを受けながらも表舞台から消えた幻のヘッドフォン」という立ち位置を築いていた、もはや曰く付きと表現してもよいかもしれないヘッドフォンが、このAKG K701なのだ。
見ているか当時の筆者少年。ついに手に入れたぞ。
まぁバージョン的には「AKG K701-Y3」なんだけど。
ちなスペック的には以下の通りとなる。
AKG K701 | |
---|---|
ドライバー | 40mmDD |
イヤーカップリング | オープンエアー |
ケーブル | 3m(ストレート) 片出し固定 |
周波数特性 | 10~39,800Hz |
音圧感度 | 93 dB |
インピーダンス | 62Ω |
重量 | 290g(除ケーブル) |
プラグ形状 | 標準プラグ/ミニプラグ |
その他 | フラットワイヤー・ボイスコイル採用 |
AKG K701 の外観
外箱。でけえ。
Pixel 6との比較。
HIFIMAN HE400seと同じぐらいではあるのだけど、クリアな分デカさが際立つ。
ヘッドフォン本体とミニプラグ変換、そしてよくわからんスタンドが付属している。
このスタンドがまぁおまけレベルの品質の癖にデカいし主張がすごい。
各種造形はトンデモなくかっこよい。
装着するだけでヘッドバンドの長さが調整できるセルフアジャスト機構の造形美もさることながら、筐体自体のデザインもシンプルでありつつ洗練されている。
3Dフォーム・イヤーパッドは長時間の使用でも痛くならず、肌触りもよく大変品質が高い。
セルフアジャスト機構はワイヤーと革バンドの組み合わせになっている。
ワイヤーをフレームとし、革バンドに接触した部分を両側のゴムで伸ばしてサイズ調整をするという仕組み。
つまるところ、心もとないゴムのみでサイズ調整をしているので、ゴムが伸び切ったり切れてしまったりした場合は使用感へ影響が出てしまうということ。
保管方法や使用する上での注意が必要になるだろう。
プラグは6.35mm。
ここでもTOPPING A50s が役に立つぜ。
AKG K701の良いところ
圧倒的造形美
カッコイー!
とにかくそれ。
真白を基本としポイントで光沢のあるシルバーをあしらえ、装着部は黒や茶という暗い色で締めることにより本体の明るさがより際立つデザインとなっている。
モダンレトロ感を感じる丸みのある様子は、なんともな安心感と所有欲を満たしてくれるではないか。
無骨一本なHIFIMANくんにはぜひ見習ってほしいところだ。
傍から見るとかなり目立つ筐体デザインではあるが、本機はオープンイヤーヘッドフォンであるが故にどうせ室内でしか使用しない。
よって周りの目を基にする必要もない。あれ?つまりHIFIMANくんって合理的?
ポップス向けな明るい音が楽しい
本機は「中高音域の再現性」に重きをおいている、と公式が言っている。
それはその通りであり、低域は結構抑え気味で中高音域を明るく鳴らしてくれる印象を受ける。
だからといってバランスが壊れているとか耳障りであるとかというわけではなく、しっかりと音楽として楽しめる、本機だからこその味のあるチューニングを楽しむことができる。
ジャンルとしては得意不得意があるようには思えず、個人的にはオールマイティに楽しめている。
また巷では女性ボーカル・アニソンとの相性が良いというどうにもけいおんのイメージを引きずっているようなレビューを見受けるが、その限りではなく男性ボーカルでも十分に鳴らしてくれる印象。
「女性ボーカル・アニソンとの相性が良い」代表のMOONDOROP製品とはまた違う味付けであり、全体的にポップスによったチューニングのように思える。
上記のような曲との相性は抜群。
各楽器の伸びや粒感をドライバ全体で感じることが出来、とても心地が良い。
また男性ボーカルのほうがデジタル感が薄く、伸びを自然に感じることが出来るので相性が良い印象がある。
AKG K701 の残念なところ
出力が必要
巷の噂通り、本機は結構な駆動パワーを必要とする。
ヘッドホンアンプは必須。
スマホに直結なんてレベルでは、音量不足どころか低域不足かつアタック感の減衰など、色々残念な出力結果になる。
本機を稼働させるためには環境整備が必要。
その点では結構敷居が高いかもしれない。
リケーブルできない
上記にも繋がるが、リケーブル出来ないことが中々にしんどい。
HIFIMAN HE400seでも記載しているが、リケーブルをすることで出力不足な欠点を補うことができるのだけど、本機ではそれも出来ない。
ここさえどうにかできれば残念な点を払拭することができるのだけど。
まぁこれも個性なので良いか悪いかは使う人によって捉え方は違うか。
AKG K701 の総評
音楽を純粋に楽しむことができる良質なヘッドフォン。
どんな音楽も誇張少なくフラットにリスニングすることができる。
見た目もいいし所有欲も満たしてくれる。
やはり噂に違わぬ名機であった。
ただ、音楽鑑賞に特化しすぎてて映画鑑賞とかには全く向かない(まるで迫力がない)という傾向があるので使い分けは重要かな。
筆者少年、見ているか。
AKG K701は期待を裏切らなかったぞ。