2024年、始めの事だ。
年始につき実家に帰省しなければならないことになった可哀想な筆者家族。
そこで目の当たりにするレトロゲームの数々。
上記GB系の他、PSやらSFCやらのソフトがたくさん。
「あんたの部屋からいっぱい出てきたから持ってって!」じゃないんだ母よ。
なぜこんなモノを、今の今まで保存してきたのか。
家を出たタイミングでさっさと捨ててしまえばよかったのに。
とはいえ、ロックマンZやら黄金の太陽は名作中の名作。
目の当たりにした今、再度プレイしてみたい感覚に囚われるがそもそもGBA本体は廃棄してしまっている。
今更買い直すのも癪だなぁ、と思っていた矢先、本機の存在を知ることになる。
ということで今回は、中華エミュ機 ANBERNIC RG35XX H をレビューしていく。
ANBERNIC RG35XX H の基本データ
ANBERNIC について
ANBERNICは、おそらく2017年に中国広東省辺りで創設されたハンドヘルドメーカーだ。
会社概要説明やwikiなどが見当たらないため詳細は不明。
聴き馴染みの無い「ハンドヘルド」という単語は、日本語的には「携帯情報端末」を示し、大義的にはスマートフォンもカテゴライズされてしまうが、その実国外では「ハンドヘルドゲーム コンソール」を示す意味で使用されている。
「ハンドヘルドゲーム コンソール」は言ってしまえば携帯ゲーム機。
古くはゲームボーイ、直近ではゲームボーイDS、PSPなどがソレに当たる。
スマホの台頭により「ハンドヘルドゲーム コンソール」は死滅している現状ではあるが、そのスマホの技術を転用してなんかゴニョゴニョした端末を繰り出しているのが世界のトレンドでもある。
で、ANBERNIC社はそんなブルーオーシャンに早期に飛び込み技術を蓄積してきた企業というわけだ。
他のハンドヘルドメーカーに比べて圧倒的なビルドクオリティを持ち、安心感が高いのが特徴。
初心者にもってこい、というヤツ。
ANBERNIC RG35XX H について
ANBERNIC RG35XX Hは、横持ちのハンドヘルドだ。
CPUにはARM Cortex-A53を採用、SoC的にはHelio P60相当(oppo F7付近)というかなり低スペックなモデルではあるが、PSP程度なら問題なく動作する駆動力がある。
古くはATARI・FC・NEOGIOなどは勿論のこと、頑張ればN64も動作範囲になる様子。
まぁ、N64について実際の動作としては使い物にならなかったが。
本機はあくまでエミュレータ機であり、ゲームソフトの完全動作を謳うものではない。
且つソフトの抽出・イメージ化はユーザ側で行う必要があり、それの動作保証も無いため完全な自己責任端末となる。
自分で試行錯誤する気概の無い人はお断り、という、いかにもな中華端末である。
ワクワクするな!
ちなみにPCでエミュを導入しようとした人なら経験があると思うが、特定のゲーム機でゲーム機そのもののBIOSを抽出するという作業が必要となるのだが、本機はなぜだか最初から入っている。
しかも購入時点である程度のタイトルが初期導入されている。
曰く、これは任意のユーザーが作成したというソフトということで著作権フリーなソフトらしい。(全部英語)
俺頭悪いからよォ、権利関係とかなんもわかんねえからよォ、まぁ製品として出てんなら問題ねえんじゃねえかなって思うんだよな。
中華端末ってのはこうでなくちゃよろしくねえ。
グレーなのかはたまた黒なのか、権利とかどうなってんだ、そもそも何をどうすれば使い物になるんだ、こんなせめぎ合いがあってこそじゃねえか。
以下のような端末もそうだが、最近はこういう一見様お断りな端末が少なくて面白くねえ。
良いじゃないか。すごく”良い”。
ちなみに、物理的なゲームソフトを所持していない状態でのエミュ機のプレイは完全な違法となるので要注意。
ROMを吸い出してソフトを売却、吸い出したROMだけ所持してエミュ機で遊ぶ、というのも限りなく黒。
必ず手元に所持しているソフトのみを対象としよう。
ANBERNIC RG35XX H の外見
外箱。
うーん外箱、という感じ。
開けたとこ。
うーん開けたとこ、という感じ。面白み皆無。
内容物は上記の通り。
充電ケーブルのほか、説明書と何故かガラスフィルムが付属。
説明書は全部英語と中国語。
まぁ義務教育終えていれば全然読める。
本機の独自ショートカットは覚えておく必要があるので頑張って英語を読もう。
今回はクリアパープルを選択。
フウウウウウウ〜〜〜
わたしは…子供のころ クリアパープルのGBCを愛用していましてね……
この端末を実機で見た時ですね
この、当時の端末を再現したような形状素材質感にですね…
これ……初めて触った時……
なんていうか……その…下品なんですが…フフ……勃起……しちゃいましてね………
ちなみに以下記事でも発狂している。
背面。
滑り止めラバーが配置され持ち易さへの配慮がある。
そして、背面ボディにバッテリーがべたっと筐体に張り付いていることが見て取れる。
ざ…雑~…!!だがそれが良い。
上部はこのように。
GBAライクではあるが、L2/R2が装備されファンクションキーも存在している。
3.5mmジャックもありイヤホンでのプレイも可能。
Type-C端末が2つありOTG1・DC/OTG2と区別されており、充電はDC/OTG2のみとなる。
正直OTG1の使い道が解らない。
中央はminiHDMI端子であり、やろうと思えばディスプレイ出力が可能。
が、アス比がズレたり画面向きが固定されたり正直実用的ではない。
下部はこの通り。
左から、左スピーカー・TF1・TF2・右スピーカー。
通常使用はTF1はシステムディスク、TF2はデータディスクという認識でよい。
右は電源とリセット。
左は音量。
デッドスペースは無く、余すところなくキーが配置されておりとても機能的だ。
実際の操作画面。良いねえ…。良い…。
ANBERNIC RG35XX H の良いところ
筐体品質が非常に高い
上述したように、本機のソレは、まさにGBの様相だ。
質感や触り心地は哀愁を帯びたものであり、その世代の人には刺さりまくるものである。
ボタン類はGB系より硬いものであるが、重くはなく押しやすい質感がある。
LRスイッチはかなりクリッキーであり人を選びそう・五月蝿いモノではあるが、筆者は別に気にならないし気に入ってる箇所でもある。
3Dスティックは噂によるとNintendo Switchのアレを流用しているとのこと。
故に反応も食感も馴染みのあるものであり違和感なく操作することができる。
うーむ、完成度が高い。
画面が大変にキレイ
本機は上記の通り、大変質の良いIPSモニタを搭載している。
当時、あのクソみたいな画質でプレイしていたゲームが、20年以上の時を超えて最新のモニタで鮮やかな発色と繊細な描画で楽しむことができる。
この感動は中々に筆舌にし難いものである。
当時はできなかった、わからなかった内容と描画をパーフェクトな質感で味わえるのはハンドヘルド端末ならでは。
色々抽出したくなる魅力にあふれている。
ソフトウェアが不安定・すぐ壊れる
なんでこんなのが良いところに入っているのか、という話ではあるのだけども、これは完全に筆者の趣味の話。
本機は「何もして無くてもなんか不具合が起こる」可能性が高い。
その不安定さがとても楽しい。
事実、筆者環境ではRetroArch(高機能エミュ)環境が突然動作しなくなり、強制再起動が発生するようになった。
何をやってもRetroArchが起動できず、事前にバックアップしていたシステムをリカバリしても動かない。
通常のエミュは動作するのにRetroArchだけが起動できないという状況になったのだ。
システムを見てみると、通常のエクスプローラからは視認できないパーティションに分割されている様子で、その何処かが壊れている可能性が疑われるという状況だけがうすーくわかる状況。
もうこの場合はシステムを入れ替えるしか無く、公式からファームウェアをDLするしか無いという状況になった。
しかして、初期導入FWである「RG35xxH-20240112」は何故か公式HPに存在しないという体たらくに直面する。
故に2023発表の古いFWへダウングレードしなくてはならないわけだが、これもまたFW更新方法がおおやけになっておらず、やり方が一見では分からない。
カスタムFW(GarlicOS 2.0.1)も公開されてはいるが、そもそもユーザの分母が少ない上に導入している人が確認できず、参考にできる情報が無い。
英語とにらめっこして頑張って導入しても、PSPが動作しないという状況であった…。
ということで、結局色々やって古いFWへ復旧できたわけだが、まぁこんな不安定なガジェットは昨今珍しい。
自分で調べて自分で対処し、自分でカスタムする。
これは初期のアンドロイド端末に似た高揚感が得られるものであり、機械いじりが好きな人にしか絶対に合わないガジェットと表現するに相応しいものと認識している。
楽しい。すごく楽しい。
久しぶりだこの感覚。
ANBERNIC RG35XX H の残念なところ
人差し指が痛む
L1/L2・R1/R2の配置が地獄。
比較的使用するであろうL1/R1は配置的に指の腹で入力することになるのだろうが、それだと反応がかなり遅めに入力されてしまう。
故に指先での入力を求められるわけだが、構造的に指をかなり折り曲げて配置する必要がある。
これが腱鞘炎になるんじゃないかってぐらい苦痛。
正直、ロックマンのようなアクションゲームは合わないなって…。
ANBERNIC RG35XX H の総評
筐体の完成度は高いが、発展途上独特の不安感もある、ザ・中華端末。
自分でどうにかできる人は超面白い。
ソレ以外の人は、操作性は劣るが同性能且つユーザの多いRG35XX Plusのほうがお勧めかなって。
とにかく、筆者的には本機はワクワクが止まらないオモチャとして大変に気に入っている。
刺さる人には刺さる可能性のガジェットという認識。
これからも色々と楽しめそうで長く愛用できそうだ。