前回の記事で”購入予定はない”とか書いたのだけれど、なんか中国から届いた。
妙だな…。(二回目)
例のごとく結局物欲に負けてKZ DQ6を購入してしまいました。
購入したのは去年のクリスマスなので、自分へのご褒美ということで実質タダ。
ということでKZ DQ6をレビューしていくのだけれど、まぁただレビューするのも面白くないので、手持ちのKZ製品と比較しながらレビューでもしていこうか。
値段が三倍ぐらい違うけど、まぁ参考程度にしていただければ。
KZ DQ6 の基本データ
KZ DQ6 について
中国は深センに拠点を構えるKZ社(正式名称:Knowledge Zenith)から発売されている、
片側3DDの合計6ユニットを搭載しながらも安価という、コスパに優れたモデルである。
低・中音域を大型10mmドライバで鳴らしつつ、不足気味の高音域を2基のドライバで補おうというコンセプトだ。
中・高音域の出力は、それに特化したチューニングを施したBAを搭載して補うパターンが多いのだけれど、本機では敢えてDDで補強してきた形になる。
これは、自分のようなDD特有の振動狂い好きといった奇特な人向けのモデルという位置づけなのかもしれない。
注目度合いではKZ ZAX、或いはKZ ASXが強いところではあるが、本機も負けていないのではないかなと個人的には思っている。
3DD構成というユニークな構成でありながら、3000円程度というお安さも中々に目を引くところ。
詳しい製品説明、及び所感については以下記事を参考いただきたい。
KZ DQ6 の外観
まずは外箱から確認。
やっぱり安価モデルだけあって梱包が簡素。
KZ ZAX、KZ ZSXの箱とこんなに違う。
本機はただスライドして出すだけ、右はパカッと開く感じ。
刻印も無くて寂しい。
三単元动圏耳机?あなた、さんたんげんとうけんみみづくえっていうのね!
付属品もいつもの…。
と思いきや、チョット違う感じだった。
ケーブルやイヤーピースは白く、KZ ZAX、KZ ZSXとは異なるものであった。
イヤーピースの質感はCCA CX10に標準で付属していたものに非常に近く、ふよふよとした超柔らかシリコンだった。
非常に薄く、すぐに裂けるヤツ(体験談)だったため、使用もせず箱にポイ。
ご尊顔はこんな感じ。
KZ ZAXの亜鉛合金のフェイスパネルのような心地よい手触りも無く、つや消しプラスチックな感じがする。ちょっとアルミっぽいといえばアルミな感じがするが、まぁ高級感はないな。
筐体はレジン感があり、シリーズ共通な感触。
KZ ZAXに非常に近いデザインではあるが、実は微妙に違う。
これは、イヤーピースを取るとわかりやすい。
本機のメインDDにあわせて、筐体が若干膨らみを描いている。
そう、実はKZ ZAX、KZ ZSXよりもメインDDがデカイのだ。
KZ ZAX、KZ ZSXと同じ10mmDDを積んでいるクセに、である。
これは、角度を変えて捉えた以下の写真、及び公式画像からさらに違いを確認できる。
DDの先がくびれている。これ、どこかで見たことある気がしないか?
そう実はこれ、KZ Z1に搭載しているXUNユニットにめっちゃ似てるのだ。
公式からは何も説明が無い。が、もしかしたらもしかするかもしれない。
とにかく、KZ ZAX、KZ ZSXと同じ10mmDDを積んでいるが、全くの別物ということだ。
以下はそんなKZ ZAX、KZ ZSXとの比較。
三枚目とか解かりやすいかもしれない。
ZAXと似た筐体でありながら、DD分の肥大化が見て取れる。
よく見ると、ステム部分も丸みがあってちょっと違う。
体重測定。7gという結果が出た。
ZAXが6.3g、ZSXが6.8gなので、本機が一番重いということになる。
まぁDDを三つも積んでりゃそうもなるか、という印象。
しかしながら、この形状によってガッチリと耳にハマってくれるので重さはネックにならない。
むしろこの重さがいい感じに装着をアシストしてくれているといってもいいぐらいだ。
KZ DQ6 の良いところ
3000円とは思えない広い音場
上記で紹介したCCA CX10(4BA+1DD)よりも遥かに音場が広い。
細かい音から、DDには苦手な高音域までしっかりを出せている。
上位機種に比べれば全然甘いが、コレを3000円で出せていると考えるとありえないレベル。
オーディオに疎い人は大抵DD機を使用しているはずなので、入門機として使用しても違和感なく移行できる上に明らかなグレードアップを楽しむことができるぞ。
いやぁKZ様は本当に沼に浸からせるのがお上手ですこと…。
響く!響くぞ!良い低音だ!
本機で期待した事は前回記事に記載したとおり、超重低音でブリブリと耳を攻めてほしいといったことだった。
期待には十分に答えてくれるポテンシャルを発揮してくれていると判断しており、ズンと響く低音とブゥーンと下から空間へ広がる振動を味わうことができる。
それでいて上記で記したように、高音域の補完も入ることから全体のバランス感の欠如は不思議と無い。
結構チューニング頑張ったんだろうなぁ、という企業努力を感じることができる面白い音作りだと感じた。
本機が生きるのはもちろん低音、それもやっぱり男性ボーカル曲だろう。
Lo-Fi HIP HOPなんてとても相性が良い。
他、ボサノヴァやジャズといった生楽器が要なジャンルも中々に映える。
クラシックギターの響きは本当に気持ちよくて寝れるぞ。
この点はKZ ZAX、KZ ZSXと良い(或いはそれ以上の)勝負ができていると言えるだろう。
この価格で中々にやってくれる。
以下、本機で聴いて震えた曲を紹介だ。
やっぱり男性ボーカルがすっごく気持ち良い!!
KZ DQ6 の残念なところ
電子音に弱い(高音域が安っぽい)
上記でアコースティック系に強いと記載したが、それはつまり打ち込み系に弱いということでもある。
高音を補完しているとはいえ、やっぱりというか、電子音バリバリの曲にはとても合わない。
同価格帯の製品に比べれば全然マシな部類ではあるが、FutureBaseやハードコアといった曲ではあまり凄みを感じることはできないだろう。
前回の記事で「ガバとか聴いてズンズンしてぇ」とか書いてたけど、もってのほか。
たしかにズンズンするけど高音が痛い。とても耳に刺さる。
高音は鳴らしてくれさえするが奥行きが無く、上辺をなぞるような感じとでも言えばいいのだろうか、どこで何が鳴っているかを感じることができない。
また、電子音のような元々が奥行きが薄い音を本機で鳴らすとそれをスコッと出してしまうので1DDで聴いているような平坦な音で出てしまう。
つまり3DDを搭載している本機の良さが出ない。
例えば以下のような曲。
DTMであり且つ高音域のボーカルの曲だが、本機で聴くとすごく安っぽく聴こえる。
KZ ZAX、KZ ZSXではもっと膨よかに出力してくれるので、向き不向きが如実に体感できる曲と判断できるだろう。
低音のヌケが甘い
3000円の製品に何いってんの!?
って話なのだけれど、あえていうならこの通り。低音のヌケが甘い。
低音大好きマン御用達、ゼンハイザーの製品とかに比べるとやっぱり深みが無い。
上記で「振動と低音が良き」と評したものではあるが、それはこの価格帯での話。
数万する低音任せろイヤホンくん達と比べると、空間の振動が弱い。
ライブスタジオで聴いているような、ビリビリずむずむとくるような、上質な振動は本機で味わうことができない。
もう一度言うけど、3000円の製品に何いってんのって話なんだけどね。
ケーブルとイヤーピースは買い替え必須
これはもうKZ ZAXのレビューの通りなんだけどね。
付属アイテムはゴミなので買い替えが必須だよ。
詳細は以下記事を確認してほしい。
KZ DQ6 の総評
纏めると、以下の通り。
って感じ。曲にもよるけどね。
とにかく低音重視の音源を聴くのであれば本機を使用するメリットは十二分にあるといえるだろう。
それ以外は、うーん価格相応かな。
くどいようだけど、これ3000円程度で変える商品だからね。
少なくとも同価格帯のKZ ZEX Proよりは聴ける。
バランス良く色んな曲聴くんだぞ、って人はKZ ZAXを買うのが吉。
上記利点に合致する人こそ、本機の本当の良さを味わうことができるだろう。