前回の記事で”購入予定はない”とか書いたのだけれど、なんか中国から届いた。
妙だな…。
とまぁ結局物欲に負けてKZ ZAXを購入してしまったのだけれど、
このKZ ZAX、とにかくすごく良い。
ZSXと基本構成は変わらんし、そこにBAが片側2基追加されただけ。
良くて高音域が広がったぐらいでしょう。
そんな程度に思っていたのだけれど、これは大変な間違いだった。
予想だにしなかった本機の音作りとその魅力について、本記事では記載していこうとおもう。
KZ ZAX の基本データ
KZ ZAX について
中国は深センに拠点を構えるKZ社(正式名称:Knowledge Zenith)から発売されている、
片側7BA+1DDの合計16ユニットのバケモノイヤホンである。
高音や中音を担当するBA(バランスド・アーマチュア)を7基、
低音を担当するDD(ダイナミックドライバ)を1基搭載し、
幅広い音域と豊かな音色を再現、迫力のあるリスリングを可能としている。
初めての多ドライヤホンで本機を聴いた場合、間違いなく性癖を歪められることだろう。
小さい筐体にドライバがミッチミチに詰まった変態的な構成をしているが、
実はcca CA16なんかでも採用されている構成であり先進性はない。
にしても、ここまで気が狂っている構成で7000円以下というのは本機をおいて他になく、
独自性と注目要素が際立っている製品だ。
詳しい製品説明、及び所感については以下記事を参考いただきたい。
KZ ZAX の外観
いつもの箱といつもの入り方。
高級感があるが、代わり映えがなくて面白くはないな。
KZ ZAXの刻印。
十六単元圏鉄耳机!じゅうろくたんげんけんてつみみつくえじゃないか!
付属品もいつもの。
大変質の悪いイヤーピースと細くて巻グセのあるケーブルが付属している。
自分は開封することなくお気に入りのものに変更しているので写真も無い。
本機のウリである亜鉛合金のフェイスパネルはつや消し加工がされている。
手触りもよく若干ヒンヤリと感じる。大変良い感触だ。
一方、背面はシンプルなデザイン。
ZSXのようなトガリのある方が好きだけど、装着感は変わらないのでまぁいいか。
以下はそんなZSXとの比較。
個人的な意見ではあるけども、ZSXのほうがやっぱり個性的なデザインで好きかな。
そのぶん、ZSXは大きく、重く、尖っている。
体重測定。ZAXが6.3g、ZSXが6.8gだ。
ZAXのほうがドライバ多いのに軽いということは、よっぽどZSXの個性的な筐体が重いのだろう。
KZ ZAX の良いところ
広い音場と圧倒的な音数
片側8ドライバ(7BA+1DD)は伊達じゃない。
聞こえなかった音が次々と聞こえてくる上に、包み込むような音場を感じることができる。
多ドラゆえの担当音域の棲み分けがとても良く、チューニングがとてもいい具合。
各々が得意な音域を元気良く鳴らしてくれているようであり、今まで聞こえなかった音や
新たな表現の発見など、聴いていてとても楽しく面白い。
今まで散々聞き飽きた音楽でさえ、このイヤホンならなにか見つけられるかもしれないと
また聞き返したくなる。
こういった違った楽しみ方に気づかせてくれるとても良いイヤホンだ。
金属板が揺れているような、特徴的な低音
ZSX譲りの10mmDDによる圧巻の低音。
重低音好きにはたまらないな。
10mmの主張が強いDDがバスバスと音を揺らしてくるが、それらに負けない高音域担当BAによる数の暴力によってそのパワーを中和し、暴力的な音数でありながら不思議とバランスの取れた音を最終的に出力してくる、とてもユニークな音作りだ。
ZSXとの明確な違いが実はこの低音の違いだ。
ZSXはナチュラルなバス音のような空気の振動で低音が伝わってくる。
対してZAXは金属板を揺らすような、金管楽器のような、独特な響きのある低音がある。
亜鉛合金のフェイスパネルの影響なのかは不明。
なにかこう、内部で反響しているような、コーンとした心地よい響きがある。
カインのYB04(5万円)の金属的な響きに近いが、まぁ価格相応なとこまでのマイルドみはある。
これに慣れてしまうと、ZSXには戻れんなぁ。
KZ ZAX の残念なところ
特になし!
と言いたいところだが、重箱の隅をつつくことを言わせてもらえば…
解像度が高すぎる
例えばこの曲。
LOVE PSYCHEDELICOの名曲、Last Smile 。
イントロ3秒後あたりからマラカスが左チャンネルから流れ始めるのだけど、
ZAXで聞くと、マラカス単体が明瞭になりすぎて耳障りに感じてしまう。
左耳にマラカスを永遠鳴らし続けるオッサンが現れるのだ。
ZSX等の他多ドラで聴いてもここまで破綻はしない。
一つの曲として纏まりのある音として出力をしてくれる。
一方で、この曲。
arai tasuku – Dear Alice
1分47秒あたりからのピアノと打ち込みが入り乱れる場所。
一つ一つの音数がはっきりと奏でられるため、回り込むような音作りが頭全体を駆け巡り、
ライブ会場のようにサラウンドな音場を体感することができる。
これ、マジで鳥肌立つやつ。
ただ、うっとおしさも人によっては感じてしまうかも。
このように、曲によるミックス具合で心地よさがガラッと変わってしまうのが欠点といえば欠点。
本来は隠し味程度の音を単体ではっきりと鳴らしてしまう為、その楽器担当のオッサンが演奏しながらめっちゃ笑顔で近寄ってくる印象を受ける。
耳コピとかする人にはうってつけかもしれないが、まったりリスニングをしてる人は突然のオッサンの自己主張に辟易してしまうかもしれない。
ZSXに比べて高音が弱い?
あと、気持ちZSXより高音が控えめかな?
BAが多いのに不思議だけど、上記金属的な響きによって高音の印象が薄い気がする。
まぁほんのちょっとだけどね。
ケーブルとイヤーピースは買い替え必須
もし購入するなら、付属アイテムはゴミなので買い替えが必須。
イヤピはゴワゴワで柔軟性の低いはとても装着感が低いものであるし、ケーブルは細くペラペラとした貧弱なものが付属している。
使用感や品質においても見た目通りであり、正直救いようがないものだ。
自分は銀メッキリケーブルとfinalのイヤーピースに変更している。
これらに変更することで本機で少し控えめな高音域の再現が格段によくなるのでとてもオススメ。
ケーブルが邪魔
これは最早難癖レベル。
音質重視であれば避けては通れないものなので、どうしようもないものではあるのだけど、やはり最近のTWSに慣れてしまうと煩わしさは感じてしまう。
KZからオフィシャルで無線モジュールが提供されているが、とってもウンコなので絶対にお勧めしない、間違っても買ってはいけないぞ。
そんな哀れなレビューは以下参照だ。
無線化したいなら、Bluetoothレシーバを使用した運用がオススメ。
自分はShanling UP4を使用しているけど、とんでもなく高機能かつ高音質なのでめちゃくちゃオススメだ。
KZ ZAX の総評
ZSXとは全くの別物。
心地よく面白くその上安い。これは間違いなく買い。
ZSXで感じた感動をまた味わいたい、という危篤な貴方は購入必須。
初めての中華多ドラで不安な貴方にも、間違いなく沼に引き込むポテンシャルを持った本機をおすすめしたい。
なお、続々と次世代機がリリースされている。
本ブログでも勿論レビューしているぞ。気になる人は以下もチェック頂きたい。