とはいえ、ここの読者ならご存知のことだとは思うが、提供品だろうがなんだろうが正直に書き記すスタイルは変えるつもりは無いので、偏見無しに一読いただきたい。
さて、我が家のWi-Fi環境は6年ぐらい前に購入したAterm WG1200HPで保たれている。
不安定では無いが、最新技術の恩恵を得られていない状況であり、そろそろ買い替えたいな、なんて思っていた。
そんな矢先にこのようなありがたい話を頂いた次第だ。
以下記事でも記載している通り、我が家の母艦はWG1200HPだが、その他沢山の機器の接続先としてTP-Link社製品であるDeco M5を使用している。これがまぁ便利。
そんなこともあり、TP-Link社製品には一定の信頼を抱いている。
そんな状況でこんな話もらったら、乗らざるを得ないよな。
ということで本記事では同社の新製品であるArcher AX73についてレビューしていこうと思う。
Archer AX73 の基本データ
TP-Link について
いつものように、軽く会社から確認していこうか。
TP-Linkは1996年に設立された会社であり、本拠地はお馴染み中国深センに置かれている模様。
ロゴは小文字となっているが、正式表記は「TP-Link」らしい。
コストパフォーマンスに優れたネットワーク製品を多数提供しており、ルーターなどの無線機は勿論のこと、スマートホーム機器やスマートカメラなども提供が行われている。
どれもこれもモノクロを基調としたシンプルな配色でまとめられており、未来感を感じるエッジの少ないデザインが特徴的だ。
メッシュWi-Fi機器はどれもこれもスタイリッシュでいい感じ。
ただし、無線LANルーターのラインナップはウニみたいなデザインが多い。
Archer C5400Xなんて間違いなく毒持ってるタイプのウニなので必見だ。
これは最近の国外ルーターの傾向でもあるのでここだけの特徴ではないのだけど、どれもこれもアンテナがチクチク生えてて見た目からの電波強者感が強い。
今回レビューするArcher AX73も例に漏れず、アンテナもりもりの機器となっている。
Archer AX73 について
製品情報としては以下の通り。
スペック値について書き出してみると以下の通り。
TP-Link Archer AX73 | |
---|---|
サイズ(アンテナ含まず) | 272.5 × 147.2 × 49.2 mm |
ワイヤレス規格 | 2.4GHz:IEEE 802.11ax/n/b/g 5.0GHz:IEEE 802.11ax/ac/n/a |
周波数 | 2.4GHz+5.0GHz |
最大通信速度(理論値) | 2.4GHz:574Mbps 5.0GHz:4,804Mbps |
接続端末数 | 最大80台 |
ワイヤレスセキュリティ | WPA WPA2 WPA3 WPA/WPA2-Enterprise(802.1x) |
CPU | 1.5GHz トリプルコアCPU |
インターフェース | 1Gbps WANポート x 1 1Gbps LANポート x 4 |
プロトコル | IPv4 IPv6 |
その他 | TP-Link OneMesh対応 |
アンテナは計6本あり、本体方向以外に柔軟な稼働が可能。
そのためアンテナ含めてのサイズ測定は難しく意味がないので省略とする。
IEEE 802.11ax(Wi-Fi6)、IPv6と、最新規格には勿論対応。
Wi-Fi6とかIPv6ってなんじゃいって人は、公式HPにわかりやすい記載があるので確認を。
TP-Link OneMeshってなんじゃいというのも上記公式HPみればわかると思うが、本機のキモとなる機能でもあるので少し触れておく。
要は中継機をかます事でメッシュWi-Fiみたいな環境を構築することができる、というもの。
OneMesh対応機器の追加が必要になるが、後々メッシュWi-Fi環境にしたいな、という際にも対応できる拡張性を備えているということになる。
メッシュWi-FiについてはざっくりとDeco M5の記事で記載しているから興味があれば。
Archer AX73 の外観
外箱。情報が多い。
外箱の後ろ。
本機の情報が余すことなく全部書いてある!
もう説明書とかいらないんじゃないかコレ。
開けるとこんな感じ。
本機と電源ケーブル、LANケーブルと設定ガイドというシンプルな構成。
本当に説明書無かったわ。
アンテナ立てるとこんな感じ。でかい。
ヒートシンクなのかは不明だが、幾何学的な天板がかっこいい。
斜めに入ったロゴもかっこいいじゃないか。
ちなみに、LEDは左から「電源」「2.4GHz帯」「5.0GHz帯」「ネット通信」「LANポート」「USB 」「WPS」を表している。
背面はこのように。
WANが色違い・別のところにあるの地味にありがたい。
このように、他の機能もひと目でなにが何なのかがわかりやすくてGOOD。
本体側面にはUSB端子があり、外付けHDDとかをつければNASとして使用することができる。
まぁこのストリーミング時代に使うことはそう無いとは思う。法人なら使うかも?
セットアップはTP-Link Tetherアプリから簡単にできる。
ウィザード画面に従えばそのまま接続し使用することが可能になる。
勿論PCからもセットアップは可能で、その場合は[192.168.0.1]とブラウザに入れればOK。
設定も管理も全部アプリでできる。
むしろPCから実施するほうが制限があるくらいだ。
何でもかんでもモバイルで実施するなんて、凄い時代だなぁ。
Archer AX73 の良いところ
4Kも余裕と語るルーターの実力は伊達じゃなかった!
4Kも余裕というだけあって、明確なスピードアップを体感することができた。
4Kストリーミングは勿論のこと、ハイレゾの視聴もストレス無く実施可能。
快適なネットライフを送れるようになった。
以下に我が家の環境(光回線)での検証結果を記載するので参考にしてほしい。
母艦:WG1200HP
クライアント:WI-U3-866D
母艦:Archer AX73
クライアント:WI-U3-866D
10倍だぞ10倍!
今までがどれだけ時代遅れだったのかがわかって辟易とする結果となった。
Wi-Fi6はもっと早いし安定してる!
いや待てよ。
IEEE 802.11ax(Wi-Fi6)、IPv6に対応しているクライアントで本機を使用すれば、もっと早くなるはずなんだ。
残念ながら、Wi-Fi6・IPv6に対応した無線機は我が家には持ち合わせていない為、計測ができない。
こんな最新の機種を持ち合わせているのに、対応しているクライアントが無いなんて、なんて歯がゆいのだろう。
というか、申し訳無さすらあるじゃないか。
自分が今使用しているWI-U3-866Dだってそうだ。
もう8年ぐらい使ってるんだ。もうこの時代にはそぐわない物を無理やり使っている節すらある。
じゃあ買い換えれば良いじゃない。
ということで今回用意したのはこちら。
同社よりArcher TX3000Eを用意。これは自腹で買った。
Archer TX3000Eのレビューはまた今度。
6/9 書いた
なお、本クライアントを導入しての測定結果は以下の通りである。
母艦:Archer AX73
クライアント:Archer TX3000E
今までの筆者の環境は何だったんだよ。
Homeshieldが地味に優秀
TP-Link Tetherアプリの機能の一つ、Homeshieldが地味に優秀。
Deco M5のアプリ(TP-Link Deco)にも似たような機能があったけど、Homeshieldで各ユーザーのトラフィックの監視が可能。
誰がどのデバイスを、どのくらい使用しているかを把握することができる。
TP-Link Deco と違うところは、本機のネットワーク上でなくてもこのアプリケーションで監視が可能というところ。
つまり、外出中に自宅のネットワーク使用状況を確認することができる。
例えば親の外出中に子供のトラフィック量が急上昇していた場合、遠隔で制限をかけたりネットワークを停止するといった暴挙対応をすることができる。
見てるだけでもぶっちゃけ楽しい機能だったりする。
Archer AX73 の残念なところ
なぜかDeco M5の速度が低下する
自分の現環境はこのように、母艦:WG1200HPにDeco M5を接続し、家中のLANに対しイーサネットバックホールを利用したメッシュWi-Fi環境を構築していた。
このような運用を行うことにより、家中に存在するスマート家電、及びスマートデバイス(計20以上)のハンドオーバをスムーズに稼働させる運用を行っていた。
この度母艦をArcher AX73に変えたことにより、Deco M5ネットワークの速度が明らかに低下することに気づいた。
きっかけはDeco M5ネットワークに接続したスマホが軒並み接続遅延を起こしたことに由来する。
ちょうど検証期間がGWということもあり、各家庭のトラフィックが上がっている事に起因しエリアとしての制限の影響を受けているせいだと考えGW明けまで検証を伸ばすことにしたのだが、それでも結果は変わることはなかった。
具体的には以下のような計測結果となっている。
尚、何度も計測した結果(5日程度)の平均値を記している為、明確なキャプチャ画像が無いことご了承いただきたい。
母艦:WG1200HP
子艦:Deco M5
下り:36Mbps
上り:73Mbps
母艦:Archer AX73
子艦:Deco M5
下り:12Mbps
上り:64Mbps
たかが24Mbpsの速度差なんて誤差だ、という人もいるかも知れない。
しかしながら母艦単体では450Mbpsも出てる環境ということは、念頭においていただきたい。
ましてやWG1200HPもArcher AX73も有線LANインターフェースは1Gbpsとなっている。
公表値としての機体性能の差ではないのだ。
何か、明らかに、足を引っ張っているものがある。
そう考えると、Archer AX73とDeco M5の相性が、強いてはArcher AX73の有線LANインターフェースの性能に疑問を抱かざるを得ない。
さらに言えばDeco M5はArcher AX73と同じくTP-Link社製品である。
同社製品で相性が良くない製品なんて…信じたくもない話じゃないか。
なお、TP-Link社より、Archer AX73とDeco M5のチャンネルが混雑してしまっている可能性があるとの指摘があった。
高速DFS障害回避を行うことで対処できるとのこと。
本環境でも設定を行ったが、残念ながら改善はみられなかった。
環境によってはこれで改善するとのことなので、同じような事象に悩む人は試してみよう。
TP-Link OneMesh は同社メッシュWi-Fiとして使用できない
当たり前だけど、本機はあくまでメッシュWi-Fiみたいな環境を構築することができる機種であり、既存のメッシュWi-Fiに追加できる機種ではない。
例え同社製品であったとしても、互換性はない。
であれば、本機を中心にメッシュWi-Fi環境を構築する必要が出てくる。
言ってしまえば、上記「なぜかDeco M5の速度が低下する」でも記載した通り、既存のメッシュWi-Fiにまで影響が及んでしまった現状、本機が推奨するような環境であるOneMesh環境に移行せざるを得ない。
Archer AX73 の総評
纏めると、以下の通り。
間違いない速度向上が認められる一方、有線への影響や既存メッシュWi-Fi環境への影響が懸念される。
本機と一蓮托生のOneMesh環境を構築せざるを得ないという状況に対し、どこまで対応できるかという懐の大きさが求められる製品だなと感じる。
もっとも、ネットワーク機材は各家庭環境に大きく依存する製品だ。
あくまで本記事は、我が家の環境下での使用感を記したものであり、全ての環境下で同一の使用感を保証するものではない事ご理解頂きたい。
これから高速なルーターを導入したい、高速なメッシュWi-Fi環境を構築したい、という方にはうってつけ。
設定も設置もめちゃくちゃ簡単。すっげー便利。
スマホを始めとした数々の無線機器が増えて行く昨今、そしてなんでもかんでもストリーミングしなくてはいけない今の時代に刺さる逸品。
これから色々始めたいという人に、是非ともおすすめしたい製品だなと判断した。