
最近全然KZを追ってなかったのだけど、なんか筆者のお気にだったイヤホンに「Pro」版が出ていた。
コイツは良くねえと急いで購入してみた次第。
…なんかもうネーミングとして当たり前になっているけど、「Pro」って何だよProって。
何がどうPro仕様なんだよ、言語化することから逃げるなよ。
ということで今回はそんな KZ ZAS Pro についてレビューしていこうと思う。
KZ ZAS Pro の基本データ
KZ ZAS Pro について

KZ ZAS Proは、中国・広東省東莞市に拠点を構えるKZ社(正式名称:Knowledge Zenith)より、2026年夏頃に発売された片側1DD+7BAの多ドラハイブリッドイヤホンだ。
2021年に登場した「KZ ZAS」の後継機として開発され、リファレンス級の解像感と、長時間聴いても疲れにくいスムーズさの両立を狙ったモデルとのこと。
主な特徴は以下の通り。
- ドライバー構成
低域に新型の10mmウルトラリニアDD、中高域に30019BA、高域〜超高域に31736BAを配置した、片側1DD+7BA構成。
ドライバ数はZASと同じだが、ZASの主力だった50024s BAは姿を消し、高域側が31736BAに置き換えられている。 - 3ウェイ・クロスオーバー
PCBクロスオーバー基板を搭載し、帯域を3分割して各ドライバに割り振る方式。
ZARで排除された(ように見えた)クロスオーバー回路が、ここにきて復活した格好だ。 - 外観・ビルドクオリティ
筐体はフロスト加工を施した高透明ポリカーボネートに、CNC削り出しのアルミフレームを組み合わせたもの。
フェイスプレートは光の当たり方で紫〜淡い緑に色を変える虹彩仕上げで、カラーはブラックとシルバーの2色展開。 - ケーブル・コネクタ
付属ケーブルは8芯200コアの銀メッキ線。
コネクタはZASの0.75mmから0.78mm 2pinに変更されているため、手持ちのリケーブル資産を流用する際は要注意。
と、こんな感じ。
ドライバ数は据え置きのまま、中身をほぼ総入れ替えしてきたというのが本機の要点だろう。
「とにかくパワー!」で突き進んできたZAの系譜ということで注目度は高い。


以下、手持ちのZAシリーズの簡単な比較表。ZAXは古すぎるので除外。
これらを調べる中で、今更ながらKZ ZATなるモノの存在を知ったのでいつか試してみたいところ。
| KZ ZAS Pro | KZ ZAR | KZ ZAS | |
|---|---|---|---|
| 高域BA | 31736 | 30019s | 30019 |
| 中域BA | 30019 | 50024s | 50024s |
| 低域DD | 10mm Ultra-linear Dynamic Driver. | 10mm Dual-magnetic Dynamic Driver.(New) | 10mm Dual-magnetic Dynamic Driver. |
| その他 | 3-way PCB crossover. | – | Professional electronic frequency crossover. |
KZ ZAS Pro の外観

まずは外箱。
いつものハイエンド片開箱…


と思いきや!まさかの安価モデル構成が採用されていた!
一応黒だしウレタンだしで完全に安価モデルのそれではないが、KZシリーズでこれは…正直萎える。
いつもの耳机プレートまで無いので箱いじりもできない。
これ一応1万円越えモデルなんやけどなぁ。

内容物はいつもの通り最低限のものしか入っていない。

ケーブルも相変わらず細くてビニールな感触が強い。
どうせリケーブルして使うんでしょ、と言わんばかりのヤツ。

イヤピは白ではあるが、これまた既存モデルの標準装備の黒イヤピと同じと思われるタイプ。
悪くもないが良くもない。




本体はこんな感じ。
相変わらず覚醒UCガンダムというかセボンスターというか…なFP。
菓子玩具っぽくてかっこよくはないから辞めてほしいんじゃが。。

筐体は無印ZASと全く同じと思われる。
三層構成の透明筐体にミチミチに機材が詰め込まれている。

体重測定。5.5gを計測。
無印と0.2g差なのでほぼ変化無しといったところか。
ZASと比較

無印ZASと比較してみよう。
ZASが5年の歳月の経過により、なんかヤバめな変色をしていてビビる。


こうやって比較するとわかりやすいが、クロスオーバー回路の位置がFP側に移動しているため、無印ZASと比較するとミチミチ度が軽減されているように思える。
ドライバ配置などに変化は無いが、ノズル口の大きさやフィルタが微妙に変更されている様子。
KZ ZAS Pro の良いところ
ZASより聴きやすく丁寧な音色

最近のトレンドを踏襲したような、KZらしからぬ大変にバランスよく聴きやすい音色という印象だ。
これまでのKZはドッカンズドンと大味な音色で個性たっぷりに鳴らしてくれていたものであるが、本機に至ってはそういった傾向は薄く、バランスフルで扱いやすい出力に収まっている。
厚くしっかりしたベースラインや刺さりが無く伸びのある広域などは据え置き。
無印ZASの広い音場と圧倒的な音数は引き継いでいるので、圧倒的な臨場感を味わうことができる。
「Pro」というのが何を示しているのかは定かではないが、まぁ確かに聴きやすくより扱いやすくなったZASという意味では、上位モデルを冠するポテンシャルがあると言えるだろう。
KZ ZAS Pro の残念なところ
こういうのを求めているんじゃない
本機ははっきり言ってZAS感は無い。
なんならKZの個性がかなり薄いとまで言える。
比較して聞いてみれば一目瞭然であるが、まず音量の確保量からして異なっているうえ、各音域の扱いに至るまでまるで違う。
ZASは109dB/mW/ZAS Proは106dB/mWという点で、必要な電力が2倍程度異なる。
これだけでまず鳴らしにくい、という話になってくるわけではあるが、据え置きDAPで必要量を確保したとしても、どうにも無印ZASのほうが面白く鳴らしてくれる印象が強い。
アタック感や残響感、臨場感などの一番わかりやすいダイナミックな印象は無印ZASの圧勝。
本機は確かにその系譜、片鱗は感じれるものではあるが、「グレードダウンした」という表現が相応しいぐらいには控えめになっており、なんだか肩透かし感を強く感じるものである。
上記の通り全体のバランス感はかなり整った印象はあるのだが、大前提に「KZらしさ」が欠如しているために、KZイヤホンとしてのバランス感の優秀さという観点でもKZ ZARに軍配が上がる。
TRNやKiwi Earsのような音色を「Pro」として出されてもなんか違う、という話だ。
で、このもやもやを抱きながらAmazonレビューを眺めていたら、筆者の気持ちにドンピシャなコメントを発見。

マメゾン…マメゾンおまえ…おまえがナンバーワンだ!
まさにこれ。
本ブログは一応レビューブログなのに、他者のレビューに全乗っかりという体たらくをかましている。
が、マジでこれなんだから恥も糞もない。もうブログやめようかな。
KZにはKZの、言い方は悪いが“唯一無二の下品な楽しさ”があるのに、本機ではそれを感じることができない。
扱いやすくトレンドに準じた、個性の薄いイヤホンと相成ってしまっている。
筆者も無印ZASのほうが好きだし、依然としてKZ ZARが筆者の中でナンバーワンかな。
当然、ケーブルとイヤーピースは買い替え必須
今までのKZ製品同様、品質の良くないケーブルとイヤピがついてる。
理由はコレまでと一緒。
マジでリケーブルとイヤピ交換は必須。
最近の筆者環境では、以下が戦力に加わったのでもっぱらコレを使用している。
本機の大きく重い筐体を快適に支えつつ、より優しい出力が可能となっている。

というか本機に至っては外箱までクオリティが下がっており、ZAシリーズの中では一番安っぽいまである。
昨今の物価高を鑑みると致し方ないことなのかもしれないが、やはり残念な気持ちは拭いきれない。
KZ ZAS Pro の総評

扱いやすくなった、なってしまったKZ ZAS。果たしてProとは何じゃいな。
Proという名がついているのに全然Pro感は無く、なんなら扱いやすく万人向けになってしまっている。
個性が埋没し、ZASの面白さが薄味になってしまった、と表現しても過言ではない。
本機が初のKZであるならば評価は反転するものであろうが、これまでのKZ製品を知っているユーザーとしてはかなり難しく評価せざるを得ない。
このイヤホン戦国時代を生き抜く中では最善の判断なのかもしれないが…、
今後、KZがどのような製品づくりをしていくかいろいろな観点で注目したいところだ。

