以下のSIMGOT EA500のレビューでも記載した通り、EA500の音質とコスパに筆者はひっくり返っており、文句なしの星5をつけさせて頂いている。
以降、なにか新しいSIMGOT製品を聴いてみたいなと思っていたのであるが、まぁ良い機会が無い。
で、この度嬉しくも上位機種である本機を入手できた。
ということで今回は、SIMGOT EA1000 をレビューしていこう。
SIMGOT EA1000 の基本データ
SIMGOT について
SIMGOTとは、中国のどこかにある高品質オーディオブランドだ。
展開商品の音質評価はどれも極めて高く、またデザイン面でも妥協がなくスタイリッシュな筐体美を備えているのが特徴。
最近流行りの美少女キャラを採用する気配が一切無く、硬派で無難で職人気質な印象を受ける。
色物の気配を一切排除し、音質とユーザビリティを優先し尽くした商品展開は妥協がなく、様々な価格帯で展開しながらも極めて高い評価を受けている様子。
SIMGOT EA1000 について
SIMGOT EA1000は、2023年11月に発売されたイヤホンである。
EA500同様、SIMGOT のフラッグシップ機であるEA2000の技術を応用したイヤホンのひとつ。
ベースとしては、EA2000で採用された1DD+1PRの構成(特許取得済み)を継承し、10mmのフルレンジダイナミックドライバーと、軽量な複合振動板を採用した6mmのパッシブドライバーを搭載。
強力な磁気駆動で紫金振動板が振動する際に、リアチャンバーからの気流と音によってパッシブ振動板が振動・反射を促すという。
これにより、より優れた低音の質感を高めるとのこと。
本機に採用されている「SDPGDベースフィルム多層スパッタリング紫金振動板」なるモノは、SIMGOT社が3年の歳月をかけて開発した振動板技術とのこと。
従来のチタンメッキ、ベリリウムメッキなどの振動板加工と異なり、本機振動板は特殊なベースフィルムに、層数を厳密に制御した透明な特殊ターゲット材料を真空高温コーティングしたものなのだとか。
これにより神秘的な紫金色となるためにこのような名称になったみたい。
伴って、卓越したダイナミクスと臨場感は勿論のこと、華やかで滑らかで瑞々しい空気感と伸びのある高域特性があるのだとか。
うーんすごい自信あふれる説明だ。
SIMGOT EA1000 の外観
まずは外箱。相変わらずかっこいい。
上記商品説明で紫金色がどうたらとか言ってたけど、箱そのものが紫金色やんな。
すっげえ光ってやがる。
同じく横から引き出すタイプ。
内箱。
ちょっとTANCHJIMみの感じる梱包。
内箱の蓋を開くと…なんだこのおっさん!?(驚愕)
って、この数学定理は芸術系選考(?)筆者でも流石に見たことがある。イカれ法律家のフェルマー兄貴の最終定理がなぜココに。
長文が記載されているが、要約してしまえば「数多の数学者に敬意を評します」程度の事が述べられている様子。
いやまあ、音っていうのは数学的ではあるけどさ、なんかこう本質じゃないというか、勝手にやってくれって感じでちょっと萎え。
なお、本カードの裏側はサポートへの誘導となっております。
この蓋を取っ払うと本機が顕現。
黒と金の配色で整えられ、隙間なくシンプルに構築されている。
うーん美しい。
内容物を全て取り出すとこのように。
ケースは厚紙内包のしっかり構成。
ロゴもあしらわれており品質は高い。
ぱかっと開けるタイプ。
ポケットとスタッキングバンドが縫い付けてある。
内容物はケーブル。
0.78mm 2Pinの銀メッキ高純度無酸素銅ケーブルが付属。
流石にこの価格帯だと品質がよろしいケーブルが入っている。
欲を言うならプラグタイプは換装式であってほしかった。
音響パターンを変えるための音響ノズルとノズル用のリングも付属。
真鍮製/ステンレス鋼製の2種類、且つ計3パターンが用意されている。
このノズルがとても丁寧に梱包されており…。
上記画像のようにとんでもないスポンジの中に収容されている。
まぁ「ほかの箱と高さを合わせるためにやむなく」というものなのかもしれないが、にしてもやたら重厚である梱包であることは間違いない。
相変わらず無骨でカッコいい。
西洋甲冑を思わせるような鈍やかな配色と曲線は、とても男の子心を擽るものだ。
ポイントにあしらわれている金色もとても良い塩梅に彩りをプラスしており、高級感と所有欲を刺激する刺激となっている。
何よりも、シリーズを通して採用された全面鏡面加工が素晴らしい。
どこからみてもキラキラ。角張が無いので何処を触ってもツルツル。
見た目の良さもさることながら、手触りや装着感でもかなり恩恵のあるデザインだ。
重さは11.1gを計測。重い。
EA500とほぼ誤差レベル。
SIMGOT EA1000 の良いところ
やっぱり優れた筐体美と機能美
これはもう筆者の好みの話なのかもしれない。
本機の筐体デザインは本当に美しい。
見た目も手触りも非常に優れており、申し分がない。
よく見るとケルト文字のような文様でデザインされたフェイスプレートを囲むように縁取られた金色フレームが実にエロい。エロすぎる。
そしてこれ以外が全面鏡面加工となっており、裏面上部のパッシブドライバー穴として装飾されたホールデザインもまたエロすぎる。
何だこれは…イヤホン界のコミック快楽天かよ…。
勿論音質に関しても文句は無く、優れたバランス感を有しており、迫力のある低音と伸びある高域がとても心地が良い。
ボーカルを中心とする中域も非常に艶めきだっており見通しが良い。
男性・女性ボーカルを問わず大変に聞きやすく過不足が無い。
サ行が刺さるであるとかハイハットが耳障りであるとか、バス域が丸まりがちであるとかそういう要素がまるで無い。
非常にレベルの高い音質を有しており、デザイン・音質面で文句が無い。
パーフェクトですわ。
SIMGOT EA1000 の残念なところ
金色真鍮ノズルにびっくり
これも好みの話なので話半分に見てほしいところではあるが。
本機標準で装着されている金色真鍮ノズルの音質が安っぽすぎる。
低域がモコモコしており、中域は以上に前立っている。
高域は粒立ちは良いが高域の伸びはなく、全体として「すかすか」した音という印象だ。
これがどのジャンルの音源でもこの通りでやってくるため、正直本機はハズレ機種であると思ってしまうものであった。
EA500の印象からの落差に、当時の筆者は以下のようであった。
なお、本機には上述したように音響パターンを変えるための音響ノズルが含まれている。
変更印象は以下の通り。
金色真鍮ノズルはクラシックの模様。
であれば、他ノズルに期待してみるか。
それぞれ試した結果、ポップ(銀色・赤色)に落ち着いた。
これであればEA500の好印象を更に洗練した音質で楽しめるものと、”個人的には”理解している。
まぁ音の好みは千差万別十人十色、共通した認識とは言えないものではあるが、EA500大好きな筆者が標準スタイルの本機を聴いて鳩嫁みたいなリアクションをしたという事実は、頭の片隅においておいて欲しい。
いや、無駄だそんな記憶。覚えなくて良い。
EA500と比べるとコスパは…
SIMGOT EA500は素晴らしい機種だった。
あの価格で信じられない装備と音質、そしてデザインを提供してくれる類まれなる秀作であった。
一方で、本機は4万円近い価格帯で、EA500のちょいと上位機種といった印象だ。
勿論外観やオプション品は価格相応となった印象であるが、肝心の音質に至っては少しレベルアップしたかな、という印象。
強くてニューゲーム、と言うよりかは、強くてコンティニューといった感じ。
劇的な無双感もなく、進化を感じるようなものでもない、という辛辣な結論にたどり着くものだ。
如何にSIMGOT EA500が優れた機種であるか、というのを如実に理解できる一方で、今後の商品展開に難しさを示す商品でもあるな、とおせっかいながらも俯瞰したした視線で感じざるを得ない製品であると感じた。
SIMGOT EA1000 の総評
より洗練されたEA500。相変わらずレベル高杉。
”SIMGOT EA500の記憶を消すことができれば”もっと楽しめた逸品。
正直言ってしまえば、SIMGOT EA500が手元にあるのであれば本機を入手する必要は無いかな、という結論。
見た目も音質もオプション品も、SIMGOT EA500よりは確実に進化しているが”劇的”な進化ではない。
上記1文に尽きる、難しい製品。
何につけても1万そこらで購入できるEA500のポテンシャルが高すぎるのがよろしくない。
4万円近い本機で比べてしまうと、そりゃあ物足りなさが際立ってしまうのは自明の理というもの。
色々と同情せざるを得ないイヤホンだ。頑張れよな…。