Google WiFiにBUFFALOやら、NETGEARやら。
メッシュWiFiをさまざまな企業が投入してきた昨今、導入を考えている人も多いと思う。
ただ、どいつこもこいつも初期投資が高くついてしまうのが気になるところ。
メッシュWi-fiは複数台で成り立つものであるがために、どうしても装置台分のお値段が必要となってしまうためだ。
そこで今回は良コスパなTP-Link Deco M5を紹介していこうと思う。
なんと1台1万円を切る価格で導入が可能だ。
そもそもメッシュWi-fiって何
Deco M5について調べてここを参照している人ならば、もう説明するまでもないと思うので概要だけ説明するが、簡単に言えば複数のルーターで繋がる事ができるWi-fiのこと。
じゃあそこらへんのWi-fi中継機買えばええやんとなるけども、そこが大きな違い。
Wi-Fi中継器というのは親機(ルーター)の電波を橋渡しする子機でしかなく、中継器へのアクセスは親機を通じて行われるため、ルーターのネットワーク負荷分散にはならない。
対してメッシュWi-fiの子機(“サテライト ” ともいう)はそれぞれがルーターとして振る舞うため、負荷の分散に繋がり速度向上が期待できる、というものである。
つまり何なんだ
ポイントになるのがそれぞれのサテライトが「ルーターとして振る舞うという」点で、それぞれのサテライトが親機と同等の電波を発するということ。
つまり親機含めそれぞれのサテライトの速度減衰がほぼ無いということだ。
このご時世、スマホは勿論のこと、IoT家電が増えゲーム機は当たり前にネットワーク接続を必要としており、一家庭に複数台もの機器がWi-fiを必要としている。そんな中、このシステムは非常に時代にあっていると言わざるを得ない。
親機とサテライトはアプリで一元管理することができ、このメッシュネットワークにIoT機器を組み込むことになれば、スマートスピーカーを始めとしたスマートデバイスで更に一元管理できるというのも魅力的だ。
上記の通りかなりIoTオタク向けデバイスということにはなるが、勿論そんなガチガチ管理を行わない層にとっても速度減衰がほぼ無い環境を構築できるという点で、十分導入を検討する価値はある。
Deco M5はメッシュWi-fi入門にピッタリ
Deco M5はメッシュWi-fi入門にピッタリだ。
まず初期投資コストが安すぎる。他機種メッシュWi-fiに比べて格安で構築できる。
そして必要最低限の機能を備えており、専用アプリで管理もできる。
インストールもその専用アプリで行うものであるから、導入も楽。
速度も必要十分でありホームネットワークセキュリティにも対応している。
入門端末としては至れり尽くせりだ と個人的には思っている。
アプリから Deco M5に接続しているデバイスを管理
どのデバイスがどこに位置し、どれだけ通信しているかなどが一目瞭然。
更にはどのユーザーがどのデバイスを使用しているかも一元管理できるため、
「この時間はこのユーザーの通信を制限する」といったことも可能になる。
速度を求めるデバイスには「優先」にチェックを入れれば上記のように★マークが付与され、どのデバイスよりも優先して帯域を割り当てることが可能だ。
その他、細かいネットワーク設定やセキュリティ設定が可能。
速度測定の機能も備えているが、測定結果を若干盛るきらいがあるため、あてにはならない。
必要十分の速度を、どの部屋でも出せる。
根本的なところはプロバイダ契約に依存するので、無駄な話ではあるが…。
速度に関しては、そこらへんのルーターとぶっちゃけ変わらない。
これに変えたことで速度が向上した!とかいうレビューをたまに見かけるが、そういう人達は交換前のルーターが11acやビームフォーミングに非対応だっただけと考えられる。最近のルーターを使用している人が本機種に変えることで速度向上が望めるかといったら微妙なところ。
本機種の最大限のメリットは上記に説明したとおり、親機含めそれぞれのサテライトの速度減衰がほぼ無いということ。トイレだろうが風呂だろうが、本機種の電波が届くところであればYouTubeもAmazon Primeも、勿論4K配信も問題なく視聴可能だ。
通信・装置の安定性は◎
本機種を導入して半年たつが、通信が途切れるといった経験はなし。
無応答状態やフリーズなどもなく、とても元気に動いてくれている。
この機種導入前にNECやBUFFALOを五台ぐらい乗り回してきたが、どいつもこいつも不安定な動きしやがったので、これだけで自分的には大満足だ。
Deco M5 の良くないところ
ハンドオーバーが甘い
「甘い」というか、まぁ無線としてはどうしようもないことではあるけども。
各サテライトを家中に設置した場合、使用デバイスが一番近いサテライトに自動で接続を行う。そしてその使用デバイスが移動し、現在接続しているサテライトよりも近いサテライト (より強い電波を放つサテライト) を確認した場合、そちらに自動で切り替わる。このように各アクセスポイント(以下AP)を乗り換えることをハンドオーバーというのだけど、このハンドオーバー発生時に通信が途絶える。
これは仕方ないことではあるのだけど、AP切替時はどうしても、瞬間的にAPに接続しない隙間が発生してしまう。この間に通信が途絶えた場合は、読み込みが中断されてしまうため、アプリによっては更新を掛ける必要性が発生する。
これらはメッシュWi-Fi機種に限らず、中継機環境でも発生することであり、通信飛距離制限がある無線を使う上ではどうしても逃れることはできない。
ただ、本機種は次の仕様に伴いこのハンドオーバーが結構な枷となったりする。
5GHzと2.4GHzを固定できない
壁や床などの障害物に強く、電波が遠くまで届きやすいが、電波干渉の影響を受けやすい2.4GHz。
2.4GHzと比較して壁や床などの障害物に弱いが、電波干渉を受け辛く安定した通信が可能な5GHz。
本機種は、状況により5GHzと2.4GHzを自動選択する仕様であるため、「このデバイスは持ち運ばないから5GHzで…」などのように、ユーザー側の状況で個々に設定ができない。上記に説明したように「優先」にチェックを入れれば★マークが付与され、優先して帯域を割り当てることが可能だが、実機動作を行うかぎり「優先」にチェックをいれても 5GHz固定にはならない。
通常の使い方ならあまり気にすることでは無いが、例えば、ある少年がニンテンドーSwitchでネット対戦しながらリビングを移動した際に、ハンドオーバー先で勝手に2.4GHzで接続され、時同じくしてママが電子レンジを起動した際、少年のSwitchは電波干渉により通信途絶が発生し、ネットが強制遮断されてしまう。
結果として親子喧嘩が始まるのである。
なんて、そんな悲劇とまではいかないものの、リビングでは基本的に5GHz固定としたい心情は誰しもが共感してくれるはずだ。
恐らく、非メッシュ機種に比べると理論速度は遅い
大体のメッシュWi-Fi機種はデュアルバンド、或いはトライバンドという複数のアンテナが搭載されている。この内の一つをメッシュネットワーク専用に使用するために、実質どちらかのバンドしか使えない。わかりやすく言うと、サテライト同士の通信に5GHzと2.4GHzのどちらかを使用(トラフィックを専有される)ことにより、おおよそ使用帯域の理論速度が半減する。
これを回避するためにはバックホール専用のバンドを内包したトライバンド機種を選ぶか、Deco M5のようなデュアルバンドでは、サテライト同士を有線 LAN で接続(イーサネットバックホール)する必要がある。
トライバンド機種は価格が高いし、イーサネットバックホールを使用するためには家中にLANケーブルを張り巡らさないと行けない。
となると、導入の敷居が高くなり、必然的に理論速度が半減した状態で使用することになる可能性が高い。
我が家ではイーサネットバックホールを使用した状態で運用を行っているため体感できてないが、そうでない環境の場合、恐らく非メッシュ機種のほうが理屈としては高速で使用することができる。
このことから、ゲーマーのようなガチ勢には不向きと言えるだろう。
総評、メッシュWi-Fiシステム入門におすすめ。一般家庭向けの最適解。
長々書いたが、まぁ一般家庭向けとしては値段機能共々超優秀なので、メッシュWi-Fiシステム入門にはとてもお勧め。
トライバンドに対応したDeco M9も存在しており、より快適なシステムを構築したいのなら検討してみるのもありだろう。