筆者はバイク用スマートモニターを5台ほど渡り歩いている。
本ブログでは計4台を紹介しているが、記事にしていないのも含めると5台のモニターを使用した経験がある。
これらを使用していく中で、バイク用スマートモニターの得手不得手が見えてきたので、自分への振り返りとして纏めてみようと思う。
ということで本稿はバイク試行錯誤シリーズの3回目となる。
このシリーズ、何故だか突然爆発的に伸びだすので筆者としても面白い。
これまでの試行錯誤シリーズは以下を参照。
バイク用スマートモニター・スマホナビについて
バイク用スマートモニターとは何か
バイク用スマートモニターとは、バイクに装着するスマートモニターである。
そのまんまな話だけど、そうとしか言えない。
ちなみに本ブログではバイク用スマートモニターと呼称しているが正式な名称は不明。
媒体によっては「マルチスマートモニター」「ディスプレイオーディオ」「スマートディスプレイ」といった、言いたい放題のやりたい放題な呼称がまかり通っている現状。
なお「スマートライドディスプレイ」や「モトスマートモニター」はジャンルではなく製品名なので注意が必要。
バイク用スマートモニターは、製品そのものにナビ機能はなく、本当にただのモニターとして存在している。
このモニターにスマホを紐づけることで、Wi-FiとBluetoothの機能を使用してナビ画面を転写する事が可能。
スマホの画面を転写しているだけなので、振動や炎天下の熱にスマホが晒されることが無く破損リスクの低減に貢献することができる。
なお、バイクのバッテリーから電源供給を行うため、キーオン/オフで起動と終了を行う事が可能。
一方で、GPSもアプリ稼働も紐づけたスマホに依存するため、スマホ自体のバッテリーはもりもりと減っていく。
結局「紐づけたスマホ自体への給電も考慮しなくてはならない」という、運用がめんどくさい製品となる。
大まかな弱点については以下記事に記載している。
なおこの弱点は、ほぼ全てのバイク用スマートモニターに共通するものとなる。
最近のデバイスはAndroid端末でも普通に動くようにはなっているけども。
スマホナビとは何か
バイク用スマートモニターについておさらいしたのであるならば、スマホナビについてもおさらいしなくてはならない。
スマホナビとは、スマホそのものをバイクに固定し、スマホのナビ機能を使用うる運用方法のことだ。
スマホをバイクに固定する器具が安価に購入できるうえ、設置も簡単。
導入のための知識蓄積やコストが大幅に削減できるため、脳死状態で構築することが可能。
アプリ自体の機能もフルで使用可能なうえ制限がなく、やろうと思えばYoutubeを見ながらツーリングだってできる。
バイクからの給電ができる環境であれば、何かが物理的に死ぬまで半永久的に運用することも可能だ。
一方でスマホ自体へのダメージが大きく、特にカメラへの影響は甚大。
落下や故障・紛失等のリスクも高く、炎天下使用からの熱暴走による強制停止、といった物的な懸念点が非常に多い。
詳細については以下を参考にされたし。
バイク用スマートモニターの良いところ
さて本記事の本題に入ろうとしよう。
上記の通り、バイク用スマートモニターとスマホナビでは明確な得手不得手があるわけだが、これらが明確に体感できてしまうシチュエーションは何か。
バイク用スマートモニターを黎明期から使用し続けており、且ついくつかの機種を乗り継いだ筆者独自の視点で述べていこう。
まずは有用点から。
近場、街乗りで便利
バイクに乗る前にスマホで現在地からゴール地点のルート案内を実行しておけばOK。
バイクをイグニッションすれば勝手にモニターにその情報が反映される。
これはすごく便利。
スマホナビのようにバイク自体に固定したり給電ケーブルを接続する手間が省けるため、かなり身軽な運用が可能となる。
バイク自体にモニターをガッチリ固定していることから盗難される懸念もスマホに比べて低いこともポイントが高い。
ドラレコ機能を内蔵しているモデルでは一括管理ができる
2024年からのモデルは大半がドラレコ機能を有している。
機種によってはタイヤの空気圧も管理できるモデルが存在しており、該当モニターのみで“ナビ・ドラレコ・タイヤ圧の監視”を管理することができる。
ただGセンサーを装備しておらず事故時の録画のロック機能が無かったり、空気圧の単位が日本基準のソレではないためいちいち計算し直さなくてはならず実用性に欠けていたりと、なんだか少し信頼できないモデルがほとんどという現状。
あくまでオマケとして扱うレベルであり、もしもの時には役に立たたないかもしれないということを念頭において活用する必要がある。
バイク用スマートモニターの良くないところ
はい、もう良いところ無いです。
モニター単体での目的地検索が壊滅的にクソ
バイク用スマートモニターはスマホでの目的地検索を前提としているようで、モニター単体での検索は反応が遅く、またマップ一覧も表示されず名前だけで目的地が羅列されるため視認性や操作性にも問題がある。
何より致命的なのは、日本語入力がケータイ打ちに固定されているところ。
これが冗談抜きに使い辛く、ストレスがたまるポイントとなる。
バイクに乗るときは基本的にバイクグローブを装着した状態となると思うが、そんな繊細な操作が難しいグローブを着用したうえでケータイ打ちを強いられるのである。
ケータイ打ちとは、言ってしまえばガラケー入力。
操作感の悪いグローブを着用したうえで、物理キーの打鍵感や反応感もなく、今何度画面を正確にタップ出来たかを正確に把握しながら、目的地を入力する。
はっきり言って無理ゲー。
グローブを外しても正常に入力することが困難だ。
なんでこんな仕様になっているのか理解に苦しむ。
本デバイスのみでナビ機能を運用することはほぼ不可能と考えたほうが良いだろう。
スマホのバッテリー消費がエグい
上記画像で分かる通り、本デバイスに接続するとモリモリとスマホのバッテリーが食われていく。
スマホ自体のモニター発光は使用しないまでも、無線関係はフルで使用する事になるのでこのようなザマとなる。
故に、結局は親元のスマホのバッテリー給電方法を考慮する必要が発生し、モバイルバッテリーの携帯であるとかバイクからの給電を考える必要がでてくるのだ。
少しの街乗りとかであれば問題ないが、日を跨いだツーリングではかなり致命的。
本仕様を考慮した荷物が増えることも懸念され、利便性に大きな疑問が出てくることになる。
接続性に問題
バイク用スマートモニターはどの機種もバイクのイグニッションから大体30秒ぐらい経ってから起動する。
これはバッテリーを有していない本機の特性上、バイクからの給電に頼るしか無いために性がない仕様であるのだが、コレが中々に致命的。
何故かというと、30秒ぐらいで接続できる保証が無いからだ。
上記では「大体30秒ぐらい経ってから起動する」としているが、コレはあくまで最低値。
電波状況やスマホの位置によって接続時間は大幅に変わるため、遅ければ4分ぐらい接続できない場合だってある。
イグニッションするたびに祈るまである。
うーんレベルが低い…。
マスツーでのストレス
複数人でのツーリング、所謂マスツーでのインカム使用時において問題がある。
何故かというと上記「接続性に問題」の項にも関わるものではあるが、バイク用スマートモニターは起動が極めて遅いため、バイク用スマートモニターのBluetoothの接続順位が上位になってしまうという事に起因する。
Bluetoothの接続順位の上位がバイク用スマートモニターになる事でどのような影響がでるか。
ナビ音声や音楽再生はスマホから出力されるため、バイク用スマートモニターが優先接続された場合は経由先のスマホの音声が聞こえなくなる。
これによりナビ音声や音楽再生が全くの無音となる。
ちなみに音声検索なども一切できなくなる。
これは主接続がインカム、副接続がバイク用スマートモニターになっていることに起因する。
そのため、バイクを乗り降りする度にわざわざスマホを出してBluetooth画面を開き、インカムをタップして優先順位を変更する必要が出てくる。
こうなると、「電源オンでモニターに情報を共有~」なんてなまっちょろい運用がまるでできなくなるために本機の唯一の利便性が大きく失われことになり、強いてはバイク用スマートモニターを採用する必要性すら無くなってくる。
バイクに乗って、イグニッションして、バイク用スマートモニターの電源が付いたことを確認して、スマホ連携が確認できたうえで、再度スマホを取り出してBluetooth設定画面を開いて接続先を変えるだって?
何だこの無駄な作業。ストレスしか無いぞ。
一応、回避策としてはインカムをA2DP接続するとか色々あるけど、そういうマニアックな話じゃないんだ。
普遍的な使用感での話をしているんだ。
バイク用スマートモニターの用途とは何か
ということでバイク用スマートモニターの用途についての結論。
バイク用スマートモニターは近場の使用のみで有効。
これがこの2年弱でたどり着いた結論だ。
バイク用スマートモニターを使用した長距離ツーリングや連泊ツーリング、マスツーはストレスがマッハになる。
ツーリング先で予定に無かったところに寄りたい、コンビニに行きたい、ガソリンスタンドに行きたい、という思いつきの実行に対して”尽く難易度が上がる”。
バイクに乗る時間が増えれば増えるほどバイク用スマートモニターの不便さに直面する羽目になる。
もうスマホで色々やったほうがマシ。
そんな”悟り”にたどり着いた筆者の環境は以下の通り。
わぁ気持ち悪い。
数年前によく見たポケGOガチ勢おじさんみたいでキモい。
だがこれが最適解なのだ。
買い物などの近場はバイク用スマートモニターに任し、ドラレコも兼任。
100km以上のツーリング時にはスマホを採用し、雨よけと日差し避けを採用したスマホスタンドを装備。
この2刀流こそが正解なのだ!!!
極めつけにバイク用スマートモニターはSoftBank回線、スマホはau回線、メインスマホはdocomo回線で揃えている。
これでもしもの時、様々なシチュエーションで対応が可能だ。
この盤石な布陣こそ、バイクという安全性に欠けたガジェットに必要なモノだと筆者は強く考えている。
ちなみに筆者はこれら布陣の一部にIIJmioを採用している。
一回線の運用が安い上、複数回線割引等もあり運用コストが非常に低くできることが魅力的だ。
結論
結論、バイク用スマートモニターは正直不便さのほうが多いという事を理解してほしかっただけの記事にはなる。
バイク用スマートモニターの導入を検討されてはいるものの、懐疑的な意識が拭えず本記事にたどり着けた賢明な諸君の皆様に置いては、是非とも本記事を参考にしていただきたい。