【MOONDROP STELLARIS レビュー】ビルドクオリティは最高。ただし音の傾向は…。

3.5
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オーディオファンなら知る人ぞ知る、あの水月雨(MOONDROP)。
何故かパッケージに二次元美少女が誂えられた例のアレ。

筆者好みの音質傾向であるがゆえ、興味が尽きない。
どんどん同社製品が家に増えてくる。誰か助けてくれ。

水月雨(MOONDROP)
「水月雨(MOONDROP)」の記事一覧です。

という導入で始まるいつものアレであり、結局ベタボメにっこりで終わるMOONDROPイヤホンなのではあるが、前回のVARIATIONSよりも何だか居座りの悪いタイトルとなっている。

MOONDROP STELLARISではなぜこんな不穏なタイトルとなったのか。
その理由について記して行きたく思う。

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MOONDROP STELLARIS の基本データ

水月雨(MOONDROP) について

水月雨(MOONDROP)は中国(おそらく深セン)を拠点とした、2015年に設立されたオーディオブランドだ。
1万円程度のものから10万円近いものまで、多種多様なイヤホンを展開している。

年々着実に技術力を増しており、それに比例して知名度と信頼を増している堅実なメーカー。
その甲斐もあって今では有力な高級イヤホン・ヘッドフォンメーカーの一員となっている。

以降はMOONDROP Ariaの記事と同じになるので省略。

MOONDROP STELLARIS について

MOONDROP STELLARISとは2022年に発売された、MOONDROP初の平面駆動ドライバ搭載イヤホンだ。

平面駆動ドライバについては以下HIFIMAN HE400seのレビューでも記載している通りではあるが、広い周波数帯域で”歪み”の非常に小さい音楽再生が可能になるドライバの事。
振動板(コイル)全体を揺らすことにより出力音のバランスが非常に良くなるという傾向がある反面、機構的に全面にコイルを張り巡らせる事になるため、大型化・コストがかかってしまうという特徴がある。

で、そんな平面駆動ドライバをイヤホンサイズに落とし込むのが中華イヤホン業界で流行っているらしく、数多くの企業から創意工夫が施された製品が発表されている状況。
MOONDROPもこのビッグウェーブに乗ったような形だ。

14.5mmの平面駆動ドライバを搭載し、派手で美しく特徴的なデザインで彩られた筐体が魅力な本機は、デザインだけでなく音質にも拘りと自信がある様子。
商品説明がFinal製品並みの長文となっており、専門用語とカタカナのオンパレードで圧倒される。
「あ、そうなんや、なんかすごいんやな・・・」と思わされる内容については以下の製品リンクより確認されたし。

筐体デザイン同社製品であるStarfieldと共通したものを採用している様子。
なるほど揃えて並べて比較したくなる。

MOONDROP STELLARIS の外観

いつもの通り外箱から。
KATOっぽい箱とデザインだ。

これがSTELLARISちゃんですか。
なんだかどんどんエロゲ味が薄くなってきているようで悲しい。

内箱。
KATOのような観音開きではなく、KXXSのように内蓋があるわけでもなかった。

ふつくしい・・・。

内容物は上記の通り。
いつものMOONDROPの内容物一式。
収納ケースに至ってはKXXSと同一と思われる。

付属ケーブルも大変に魅力的なデザインだ。
青と黄色で統一されており、派手さは控えつつも注目度の高い外観を有している。

御本尊。
美しい。とても美しい。

ラメ塗装のような煌めきがまず目に留まる。
そしてその塗装をより映えさせるツヤ加工が乗算し、より玉虫色の表現を可能としている。
角ばりの一切ない優しい筐体がその魅力を一層際立たせており、とても所有欲を満たしてくれる。
無論手触りも大変によく、まるで陶器を撫でているかのような心地よさを覚える。
「バルス」って言えば光りそう。(台無しの一言)

体重測定。
やったぜ13.9g。自分の所持したイヤホンの中で過去一の重さだ。

もはやコレすらも恒例。
MOONDROPのイヤホンって際限なく重くなっていってないか。

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MOONDROP STELLARIS の良いところ

ビルドクオリティの高さ

上述しているとおりでもあるが、本機のビルドクオリティは大変に高い。
デザインもさることながら、手触りや装着感に至っても問題がない。

付属のケーブルも相まって、装着した状態は一つのアクセサリーを飾ったようであり、胸元から耳への印象を大きく変えてくれる。
おしゃれなアイテムとしても十分に通じる本機のデザインは、雑味なく唯一無二。
素晴らしく美しいと思う。

オプション品の品質の高さ

これは本製品に限った話ではないが、改めて。

ケーブル、イヤーピース含め、オプション品が大変に品質が良い。
通常の中華イヤホンであれば、これらはオマケもオマケといったようなもので微妙な出来なものが多い。
KZ製品なんていっつもそう。

しかしながら、本機はケーブルもイヤーピースもデフォルトのもので必要以上のクオリティを保持しており、本機だけを購入しても十分に楽しむことができる。

最近色々な中華イヤホンに手を出してきたが、MOONDROPはやっぱり群を抜いている印象。
この信頼感をこれからも保持してほしいところだ。

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MOONDROP STELLARIS の残念なところ

音の出力傾向に違和感

本機は上述した通り、MOONDROP初の平面駆動ドライバ搭載イヤホンだ。
振動板全体を揺らすことにより出力音のバランスが非常に良くなるという傾向がある、と説明した。

が、本機ではだいぶ高音域重視のチューニングが行われている印象を受ける。
というか、低中音域がだいぶ抜けていると表現したほうが良いか。
音域の奥行きや解像度、表現力は価格相応な印象を受けるが、言ってしまえば浅い。
薄い膜のようなものが低中域にあり高音域がシャリシャリと鳴ってしまっている。

MOONDROP製品は女性ボーカルに強く、ことアニソンなどの相性が良い、なんて言われているが、本機に至っては該当曲は聴き疲れてしまう。
以下の楽曲に至っては、サ行が刺さるという事象が発生した。
MOONDROP製品では初めての事象であり、大変に驚いている。
安価モデルの同社製品であるですらこんなことはなかったのに・・・。

また、以下のようなロゥな楽曲ですらピーク値を感じてしまう。
硬質的・女性ボーカルとの相性があまりに良くない。

男性ボーカルやロック・クラシックでは、まぁ違和感なくそれなりに楽しく聴くことは可能。
ただそれでもハイハット付近の硬質的な音はやや耳に刺さる傾向があるので注意が必要。

高音域がブーストしている、というより他音域の出力不足感が否めない印象。
20時間程度鳴らしているが一向に改善しないためエージングの有無ではなく本機の特性なのだろう。
どうしたMOONDROPと思うぐらいに、らしくない出来である。

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MOONDROP STELLARIS の総評

筐体に全振りしたイヤホン

ビルドクオリティ含め、付属ケーブルから本機にいたるまでのデザインについてはかなり綿密に設計されたものであると感じることができ、所有欲を満たすものであると思う。
対して音の傾向に至ってはあまりにもMOONDROPらしくない雑な印象を受ける。
正直に言えば、残念でしかない。

初めて同社製品で微妙だな、と思うぐらいの出来ではあった。
何よりもサ行が耳に刺さるのはいただけないなぁ。

このナリで鳴りが良ければ、本当に申し分がなかったのに。
なんともにもったいない製品であるなと感じた。

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