【SONY LinkBuds レビュー】音も良い。高性能、高品質。ただし、室内使用に限る。

3.5
記事内に広告が含まれています。

前回の記事でも触れたように、本機の大変ユニークで興味深い造形に筆者は首ったけ。
発売前に予約・購入してしまい、到着から充電と睡眠以外はずっと装着し続けている。
そのなかで感じた使用感や良し悪しについて、記していこうと思う。

スポンサーリンク

SONY LinkBuds の基本データ

SONY について

SONYとは東京都港区に本社を置く日本の総合電機メーカーである。
前回記事のおさらいとはなるが、日本人にはもはや説明不要な会社。

SONYは数多くのヘッドフォン・TWSを発表しており、どれも高音質で高品質。
また、優秀なANCを搭載していることが特徴。
どれもこれも評判が良く、総じてロングセラーとなっている。
音の傾向は昔からフラット寄り。
コンテンツ制作現場でも多く愛用されていることもあり、味付けの少ないモニタ気質の高い音作りが印象的だ。

LinkBuds | ヘッドホン | ソニー
ソニー ヘッドホン 公式ウェブサイト。ヘッドホンLinkBudsの商品ページです。

SONY LinkBuds について

そんなSONYから発表されたのが、この奇抜デバイスな「LinkBuds」だ。
平井前社長の功績でイケイケドンドンになったSONYらしい、というか昔の香水型ミュージックプレイヤーとか作ってた時のような、かつての勢いのある個性的なSONYデバイスの面影を感じる商品だ。

スペック値について書き出してみると以下の通り。

LinkBuds
Bluetooth規格5.2
ドライバー1DD(高磁力ネオジウムマグネット12mmリング型ドライバーユニット)
SoC不明
対応コーデックSBC、AAC
操作方法タッチ
防塵防水等級IPX4
連続再生時間最大5.5時間(本体のみ)
最大17.5時間(ケース込み)
充電時間10分充電で90分再生可能のクイック充電
(MAX値不明)
充電端子Type-C
その他高音質化技術「DSEE」
ボイスピックアップテクノロジー
Quick Access
アダプティブボリュームコントロール
スピーク・トゥ・チャット
マルチペアリング
360 Reality Audio対応

なんといっても最大の特徴である高磁力ネオジウムマグネット12mmリング型ドライバーユニットだ。
ドーナツのように穴の空いたドライバーユニットは非常に個性的で興味深い。
この特殊な形状により、カナル型イヤホンのように耳を塞ぐこと無く、周囲の音を自然に聴きながら音楽や音声コンテンツを重ねて楽しむ新しいリスニングスタイルを提供するとのこと。

Shokz(前AfterShokz)のような、骨伝導によるアプローチではなく、純粋に耳に嵌めながらも環境音を取り込めるようにしたところは非常に面白い。
この発想自体はXperia Ear Duoから健在であるが、SONY的には大きくコンセプトが異なるものであると明言している

要は、TWSとしての立ち位置が固まってきた中で、TWSとしての利便性を更に追求したもの、という少しパンチ力に欠けるコンセプトの様子。
まぁ言いたいことは解るが、骨伝導ヘッドホンなどが跋扈する中でそれはあまりにも薄味すぎないか、という印象ではあるが、その真価は果たして。

続いて気になるのが、妥協のない豊富な機能群だ。
こんな特殊な形状でありながらも、ユーザ毎の最適化で空間表現を可能とする360 Reality Audioに対応していたり、高域補完を行うDSEEを搭載していたりする。

SONY LinkBuds の外観

まずは外箱。
小さい。すごく小さい。

どれくらい小さいかというと、Bluetoothレシーバよりも小さい。
しかもすごいシンプルなデザインで、誇張が何も無い。
本機デザインの異質さだけで戦えるという自信の現れか。

中箱も紙製。

勿論内部の仕切りなども全て紙製。
曰く、脱プラスチックに向けた取り組みの1つであり、SONYの製品作りの一貫だという。

付属品は上記の通り。
イヤピは存在しないため、「フィッティングサポーター」の別サイズが用意されている。
他のTWSでは「ウイング」と呼ばれるやつ。
なお、ケーブルはType-Cが用意されている。

ケースはこのように。
これもまただいぶ小さい。

前面はボタン閉会式。
背面はType-C充電口と、リセットボタンが配置。

15秒長押しすることで本機のリセットを行うことが可能。
インジケータランプ点灯ボタンじゃないのか…。
リセットボタンにしてはあまりにも自己主張が強くないか。

開けるとこんな感じ。

ご本尊。
個性的で大変良い。

背面は近接センサーと充電端子、そして出力口が確認できる。
本当に穴が開いてる。

本当に穴が開いてる。

本当に穴が開いてる。すげえ。

横から見るとこんな感じ。
下部はドライバのみで、他のセンサー群やバッテリーなどは上部に格納されている模様。

イヤホン自体は4.0gを記録。
イヤホン込本体の体重測定は41.1gを記録。

本体もケースもだいぶ軽い印象。
小さくて軽くて環境に良くて高性能。すごい気合の入れようじゃないか。

スポンサーリンク

SONY LinkBuds の良いところ

音質が大変良い

ながら聴きデバイス、ドーナツイヤホンと侮るなかれ。
スペック表から分かる通りの妥協のない機能もさることながら、本機自身の品質も大変に高く音質も良い。

開放型でありながら、出力の指向性が高く、集中してリスニングすることが可能。
ドーナツ型の癖に音のバランスがバラけず聞くことができるというのにまず驚きだ。
このとおり、音の傾向もSONYらしくバランス重視ではあるのだが、”らしい”音質で楽しむことができる。
同じく「ながら聴き」デバイスに採用されがちな骨伝導デバイスとは雲泥の差の音質と言える。

そしてなんと言っても驚くのが「奥行き」だ。
どの楽器がどの位置で鳴っているのか、どこまで響いているのか、がかなり明瞭に聴こえる。
1万円クラスのカナル型有線に迫る奥行きの再現度の高さは中々魅力的。

機能が豊富

スペック表野通り、本機はTWSとして不必要なほどに機能が豊富。
「あれば便利な機能」が標準で潤沢に揃っているのが魅力的?特徴的だ。

この通り、設定項目が3ページに渡って存在しており、サウンド面から本体操作設定まで幅広く設定可能。
ぶっちゃけ多すぎる。

なかでも便利なのがこの「ワイドエリアタップ」機能。
本体ではなく、もみあげ付近を殴打タップすることで本体の操作が可能となる機能だ。
この機能により、スマホからの操作が不要になるのは勿論のこと、冬場の手袋装着時など、大雑把な扱いで操作を行うことが可能となる。

しかしながら、大変便利な機能であることは間違いない一方で、操作している姿は結構目立ったりする。
街中で最高にハイになっているディオのようにこめかみをねじねじしている奴がいたら、本機を操作している奴だと思ってもらって構わない。
そんなレベル。

スポンサーリンク

SONY LinkBuds の微妙なところ

ポジショニングが難しすぎる

本機は見て解るように、イヤピがなく耳に”嵌める”タイプ。
その上「フィッティングサポーター」で耳の中で位置決めを行う様相となっている。

この「フィッティングサポーター」が兎にも角にも重要。
というか「フィッティングサポーター」に依存しすぎている。
この「フィッティングサポーター」はXSからXLまで豊富なサイズが用意されているのだが、このサイズを間違えると途端に音質が悪くなる。

上記で述べたとおり、本機は出力の指向性が高く、音が拡散しにくい。
そのため、外耳道にこのリング型ドライバーユニットがジャストフィットする位置を見つける必要がでてくる。

ここから少しでもずれた場合、高域はシャリシャリ感が増し、中域は緩くなり、低域は抜けてしまう。
途端に安っぽいDD機に成り下がってしまうのだ。

極めつけは表情筋による作用。
笑うだとか食べるだとか喋るだとか、広角周りの筋肉を少しでも動かすと位置がずれてしまう。
かなり扱いに癖がある。

自分にあった「フィッティングサポーター」を選択したとしても、この仕様は免れない。
割り切って使用する必要がありそうだ。

マスクと相性がよくない

拍車をかけて難しくなるのが、マスクによる耳の圧迫だ。

上記の通り、本機はポジショニングが大変に重要。
耳の形、装着位置に大きく依存して、使用感が変わってくる。

そしてこのご時世、マスクは必須装備ではあるが、ご存知の通りマスクは耳に引掛けるものになる。
この微妙なマスクの引掛けによって装着位置がズレてしまう。
起因して、音が悪くなる。

例えマスク装着時にベストなポジションであっても、歩く振動や会話や表情筋の作用ですぐにズレる。
結果、嵌め直しや位置調整、「フィッティングサポーター」の選択を再考するといった余地が発生する。
とても面倒くさい。

外での使用には不向き

本機は「リアルの音とオンラインの音を繋ぐ」というコンセプトのもとに作成されている。
そのため、外音を聴きながら、スマホから出力される音を確認することができるのだ。
だがしかし、実際には本機は外音に弱すぎる。

音楽を聞きながら外で過ごした場合、音楽はおおよそまともに聴こえないだろう。
電車や車の走行音、人の雑音といった環境音に潰されてしまう。
では本機の音量を上げれば、となれば外音は聞こえなくなり、本機のドーナツ形状は全く活かされることはなくなってしまう。
だったら最初からカナル型の高音質TWSを使用すればいいという話ではないか。

骨伝導のように「直に音の波長を鼓膜へ響かす」という大技を使えない以上、仕様がないことではあるのだが、本機のコンセプトを活かす箇所はかなり限られてくることは確かだ。
つまり、本機の真髄を活かすには環境音の少ない室内で使用する、ということが求められる。
それ以外の用途で使用する場合は、圧倒的に骨伝導のほうが役に立つだろう。

以下記事で骨伝導イヤホンのレビューと比較を行っているので参考にしてほしい。

スポンサーリンク

SONY LinkBuds の総評

ということで総評は以下の通り。

  • 高音質、高性能
  • 小さく、軽く、環境に良い
  • ポジショニングが難しい
  • マスクを装着するともっと難しくなる
  • 外での使用は不向き

という感じ。
音質は良いが、癖が強い。この言葉に尽きる。

本機を導入することでAfterShokz OpenMoveは不要になるかな、と思ったがそうでもなかった。
それぞれ得意不得意があるため、要所要所で使い分ける必要があるだろう。

室内限定で本機の導入を考えているのであれば問題ないと思う。
屋外での使用を考えている場合は骨伝導デバイスか、通常のTWSを選択したほうが良いだろう。

タイトルとURLをコピーしました