まず最初に、本記事はGAOMON社様より商品を提供頂いた上での記事となる。
提供品だろうがなんだろうが、正直に書き記すスタイルは変えるつもりは無いので、偏見無しに一読いただきたい。(テンプレ)
正直、本件でお話を伺うまでGAOMON社の存在は全く知らなかった。
自分が初めてペンタブを扱い始めた当初は大手のWACOMしか選択肢が無く、その初動も相まってそのまま10年以上に渡りWACOM製品を使い続け、買い替え続ける事になっているためだ。
Galaxy noteだってWACOMのペンタブ技術を扱っているのだ、ペンタブといえばWACOMで間違いない、というWACOM至上主義が根付いてしまっているのは言うまでもない。
そんな筆者にとって、初のWACOM以外のペンタブとなる。
これがびっくり、普通に使える。この驚きの価格帯で。こりゃすげえ。
ということで今回はそんな「GAOMON S620」についてレビューしていこうと思う。
GAOMON S620 の基本データ
GAOMON について
GAOMON TECHNOLOGY CORPORATIONは、アニメーション製品や手書き入力デジタル化製品などを提供している企業だ。
中国广州市に本拠地を置く企業らしい。
デジモンの一種ではない。
2011年には中国市場で、2016年には他の国でも知名度が上がったらしい、という情報は確認できるが、いつ創業されどのように成長していったかは全くもって不明。
公式HPにも記載がないものだから調べようもない。
こんな怪しさが溢れるGAOMONであるが、各所で確認できるレビューは概ね良好。
低評価のレビューは軒並み初期不良に関するもので占められていることからしょうがないものではあるだろうが(それにしても件数が多いのが気になるが)、製品の性能自体のレビューとしては過不足が無いといった評判の様子。
これらのことから怪しくはあるが製品はしっかりしているという印象を抱いている。
もうちょいしっかりすればいいのに…。
GAOMON S620 について
製品情報としては以下の通り。
スペック値について書き出してみると以下の通り。
GAOMON S620 | |
---|---|
サイズ | 211 ×174 × 8mm |
作業領域(PCモード) | 165*101mm (6.5*4inches) |
作業領域(Androidモード) | 101*57mm(16:9) |
重量 | 249g |
筆圧レベル | 8192 |
読取速度 | 266PPS |
読取可能高さ | 10mm |
ペン解像度 | 5080 LPI |
ショートカットキー | 4 |
価格は5000円以下でありながら筆圧レベルは上位モデルと同様の8192に対応。
この価格帯であれば半分の4096がいいとこであるが、なんとまぁ太っ腹なこと。
ペンの傾き検知には非対応の様子ではあるが、むしろこの価格で対応している方がありえないのでそこは気にしない。
大きく押しやすいショートカットキーが4つも付いており各種カスタマイズが可能。
ただペンタブを普段遣いしている人なら誰しもがそうであろうが、タブに付属しているショトカキーは基本的には使うことはないものだ。
ましてや本機のショトカキーは大きく幅を取っているので、その分小型化か或いは描画領域として確保してほしかったところではある。
まぁそれも含めてエントリーモデルなのだろう。
OTG機能をサポートしているのでスマホ(Android)に挿して使用することも可能。
使用シーンは一切思い浮かばないが、まぁ使えるには越したことはない。
軽くて薄くて持ち運びがしやすいタイプなので、出先でのメモや編集作業に役に立つかもしれない。
GAOMON S620 の外観
まずは外箱。なんだかめでたい。
招き猫にだるまて。
開けて取り出してみたところ。
なんだかいろいろ入っている。
可愛いのか可愛くないのか判断に困る付箋に…
とんでもない量の替芯。
ペンの収納ケースと
ペンタブ用グローブまで付属している。
親指の付け根に飼い猫に切り裂かれた傷が見えるが気にしない。
ペンはオーソドックスな2ボタン式。
しかし反対側には消しゴムキーが無い。
WACOMならあるのに。
本体。薄くて軽くてシンプルな形状。
MicroUSBで接続する。もちろん着脱可能。
GAOMON Tablet について
GAOMON Tabletというソフトウェアを導入することで各キーの設定や筆圧レベルを調整可能。
ペンのスイッチへの機能割当の調整や…
作業領域やショトカキーの調整も可能。
設定の書き出し/読み込みも可能。
キー割当はメディア操作までもが可能であり、意外と柔軟。
GAOMON S620 の良いところ
安いくせにしっかりと使える
Amazonレビューでいくつか見受けられた、ペンの操作と画面描画に遅延が見受けられる、ということも一切なく、とてもスムーズに描画ができた。
筆圧レベルに関しても、8192という数値は嘘ではないなと感じることができる。
以下はCLIP STUDIOでのペン描画。スムーズな筆ハネが再現できている。
筆者はフォトレタッチなどの普段使いに小型のタブレット(4096)を使用しており、イラストやガチのフォト編集のときは大判のタブレット(8192)を使用する事にしているため、このあたりの数値と実際の挙動には結構敏感だったりする。
そのうえで、この使用感は十分「ガチ」向けに使用できるなと感じた。
豊富な付属品
結構なおまけがついてくる。地味に嬉しい(こなみ)
ただまぁ付箋など正直要らないと思えるアイテムもついてくるので人によりけりだとは思うが、貰えるもんは貰っとこうぜという精神。
替芯なんて16本ぐらい付いてくるので、本体が壊れるまでは十分に使い続けられるんじゃないかな。
GAOMON S620 の残念なところ
無駄なスペースが大きい
上述した通り、おそらく数多のペンタブユーザーはペンタブのショトカキーは使用しない。
また上記画像で確認できる通り、ショトカキー以上の幅のデッドスペースを上部に有しているため、いよいよ描画範囲の狭さが際立つことになる。
実際の描画範囲は隣のTourBox Elite程度しか無い。
まぁこのデッドスペースに色々基盤だなんだが格納されているかもしれないので、しょうがないものなのかもしれないところではあるのだが、ここをもっとシンプルにコンパクトにできたらまた評価も変わったかな…という話。
性能は申し分ないのにもったいない。
GAOMON S620 の総評
安価でとても優秀なエントリーモデルペンタブレット。
ペンタブ初心者にとってもおすすめ。
惜しむらくは、なんといってもその得体の知れなさだろう。
もうちょっと、こう、素性をしっかりしてほしいところ。
製品は申し分ないのだから、怪しさを払拭できるよう頑張ってほしい。
本製品を検討する上で、このレビューがその蟠りを取り払えてくれたら何よりと思う。