前回の記事で様子見、とか書いていたけど、結局買ってしまった。
やっぱり愛用している商品の進化版となれば、気になるじゃないか。
結果として、このような辛辣なタイトルで本機のレビュー記事を書いている。
タイトルからお察しの通り、Shanling UP5はなんともビミョーであるという評価を下している。
まだ日本で発売すらしておらず、これから来日するであろう商品にネガティブなイメージをつけてしまうこと申し訳なく思うが、まあ一つの意見として参考にしていただきたい。
Shanling UP5 について
Shanling UP シリーズについて
まずはShanling UPシリーズについて軽くおさらい。
Shanling UPシリーズとは、Shanling社から発売されている、小型で高性能高音質なBluetoothレシーバだ。
これまでにUP2、UP4とグレードアップしており、今回のUP5が最新機種となる。
UP2では3.5mmだけであったが、UP4では3.5mmと2.5mmに対応し、バランス出力も可能となった。
UP5では3.5mmと2.5mmに加えて、4.4mmのバランス出力も可能となっている。
筆者は資産として2.5mmが多いため、Shanling UP4を愛用している。
本ブログでも、レビュー記事やバージョンアップ記事をいくつか投稿している。
Shanling UP5 の概要
基本は変わらず、小型で高性能高音質なBluetoothレシーバである。
上記でも少し触れたが、もちろんUP4からいくつかの機能追加が行われている。
前回の記事のおさらいとなってしまうのである程度省略するが、以下のような機能が追加されている。
- 前面ディスプレイがついた
- 4.4mmバランスケーブルに対応した
- DACチップがアップグレードされた
- DACモード切り替えも可能
- XMOS USB DACに対応
- その他(カーモード、ニンテンドースイッチ対応)
カーモードはともかく、スイッチに対応というのが、まぁよくわからない。
ゲームを高音質でプレイしたい、というニーズが少ないながらもあるのはまぁわかるが、結局ポータブルモードでしか使用できないのであれば、旨味もないのではないか。
そもそも、そんな音の解像度の高さを求めるゲームってスイッチで出てたっけ?
それはおいておくとして、このようにUP4よりも音質を重視したアップグレードが行われている。
XMOS USB DACにも対応し、PC接続時にDSD256、32bit/384kHzの出力をサポート。
これによりUP4では苦手気味だったPCの使用時の音質も格段に向上している模様。
他、基本スペックは以下の通り。
Shanling UP5 | Shanling UP4 | |
---|---|---|
Bluetooth規格 | 5.0 | 5.0 |
対応コーデック | HWA(LHDC)/LDAC/aptX HD/aptX LL/aptX/AAC/SBC | HWA(LHDC)/LDAC/aptX HD/aptX LL/aptX/AAC/SBC |
BTチップ | Qualcomm qcc5120 | Qualcomm CSR8675 |
DACチップ | Ess Sabre ES9219C x2 | ESS Sabre ES9218P ×2 |
対応端子 | 3.5mmイヤホンジャック 4.4mmイヤホンジャック 2.5mm バランス端子 USB Type-C (USB DAC機能搭載) | 3.5mmイヤホンジャック 2.5mm バランス端子 USB Type-C (USB DAC機能搭載) |
寸法・重量 | 68×39×14.5mm, 50g | 60×36×13.5mm, 37g |
バッテリー | 680mAh | 550mAh |
その他 | CVCノイズキャンセリング NFC対応 MQA対応 | CVCノイズキャンセリング NFC対応 |
Shanling UP5 の外観
相変わらず外箱が歪んでいる。
aliexpressの愛は健在だ。
箱を開けたところ。
なかなか高級感を感じる。
箱から取り出すと上記のように。
UP4に比べるとオプション品が増えている。
パット見はUP4と変わらない。
上部を見ると中心に4.4mmプラグホールが存在する。
ここだけ金メッキのため結構目立つ。
便利だったマルチファンクションホイールも健在。
だがしかし、これが本機最大の改悪ポイントとなる。
本機で新登場のプレイバックボタン。
ここで再生/停止、曲送り戻しといった操作が可能となっている。
前回は別売りだったレザー調のケースがなんと付属。太っ腹。
UP4の標準安っぽいケースと比べると雲泥の差。
クリップ式ではなくボタン式になっている。
Shanling UP5 と Shanling UP4 の比較
左はUP5、右はUP4。
一回り大きくなっている。
まぁ、あまり変わらんな。
増加した13g分の大きさといえる。
Shanling UP5 の良いところ
既存イヤホン資産を手軽に高音質・無線化
まぁ、UP4でもそうなんだけど。
既存のイヤホン資産を手軽に無線環境に流用することができる。
HWA(LHDC)/LDACに対応しているし、UP5であればMQAファイルもサポート。
PCに繋げれば、XMOS搭載による最大32bit/384kHz、DSD256での高音質再生も可能。
外ではTWSの代わりに、PC作業時には高音質DAPとして、という使い方も可能だ。
これ一台を持ち歩けば、場所を問わず常に高音質で音楽を楽しめるってわけ。
あとは、基本的にはUP4と一緒!音質もほぼ一緒!
Shanling UP5 の残念なところ
UP4と比較してしまうと、という話。
UP4を触ったことが無いのであれば、気にならないかも…しれない。
マルチファンクションホイールが改悪
UP4では電源ON/OFF、及び再生停止早送り巻き戻しなど、全ての操作が可能であった。
クリック感も大きく、ボタン自体も大きく押しやすかった。
ボリューム操作のホイール感も気持ちがよく、無意味に回したくなるほど。
1クリックが再生停止、2クリックは早送り、3クリックが巻き戻しと分りやすいのもGOOD。
対してUP5のマルチファンクションホイールは、電源ON/OFFと音量操作だけ。
じゃあ他のクリック操作は?となるのだが、これらは画面操作に割り当てられている。
1クリックが画面点灯、2クリックはペアリングモードとなる。
何が最悪って、スマホと接続している状態で2クリックすると、現在接続しているスマホと通信を切断しペアリングモードに遷移してしまう。
前回の記事でも書いたとおりだが、Bluetoothレシーバの画面なんて見る機会が無い。
電源入れてあとはポケットに入れるなりどこかに装着しておしまいだ。
音楽再生端末、しかも無線機として必要な機能をデグレードする意味とは一体。
プレイバックボタンが糞
まぁ心配するなと。
音楽操作するボタンは別に設けてあるから大丈夫だと。
プレイバックボタンを用意してあるから問題ないと。
いいや、そんなことはない。
残念な事にこのプレイバックボタンは大変に糞である。
まずクリック感が無い。押したのか押せてないのかが全然わからない。
更に小さい。マルチファンクションホイールの半分くらいの大きさのため押しにくい。
加えて出っ張りがないため、触っただけでは一瞬どこにボタンがあるのかわからない。
こんな仕様であるため、レザーケースを装着するとマジでどこにボタンがあるのか分からない。
クリックできたのかも、より分からなくなる。
めちゃくちゃにイライラする。
全体的に不安定(改善済み)
電源ON/OFF時には「パワーオン」「パワーオフ」といった女性のアナウンスが流れる。
これはUP4も一緒。
UP5ではまだファームが不安定なのか、このアナウンスが大分おかしい。
具体的には以下のような感じ。
- パワーオン → 「…ゥアーオン」
- ペアリング → 「…ェアリンg…」
- コネクテッド → 「…ェネクテd…」
- パワーオフ → 「…ゥアーオh」
このように、頭切れ尻切れする。
酷いときは、曲の頭出しも切れることがある。
更に、電源ボタンを3秒以上押しても起動しないことはザラ。
説明書では3秒長押しとあるが、経験上6秒以上押し続けないと起動しない。
つい最近、最新ファームである1.5.6が発表されたのでアップデートしたが、このあたりの修正はされていなかった。
これからに期待したいところだが、果たして治るものなのかどうか…。
7/31
FW1.6.0の登場によりこれら不具合は全て改善した。
音量固定機能の改悪
上記は1.5.3のときのキャプチャだが、1.5.6も変更はない。
デバイス起動時の音量を決めることができるスライドバーが確認できるだろう。
これは見て分かる通り、起動時の出力音量を予め決めることができる機能だ。
UP4では「前回の終了時の音量」で固定できた。
だがしかし、UP5では好みの音量を見つけたとしても起動時にはこの数値までリセットされてしまう。
使用するイヤホンによって適切な音量は異なるもの。
イヤホンを変えるたびに、わざわざこのアプリ呼び出して操作しづらいバーをちまちま動かして設定を保存しなきゃいけないらしい。うーんクソめんどい。
あと余談ではあるが、右画面に「シングル/デュアルDAC」切り替えボタンが確認できると思うけど、これで切り替えても微塵も音質の変化が無かった。
自分の耳が悪いのかなんなのかわからんけど、この機能の価値とは。
Shanling UP5 の総評
まとめると以下の通り。
という感じ。
Shanling UP4に比べるとネガティブなところが目についてしょうがない。
今後のアップデートに期待。
ファームの不安定さの解消と音量固定の改善、そしてマルチファンクションホイールの操作とプレイバックボタンの操作を入れ替えられるオプションの付与を切望する。
Shanling UP4も、音が揺れたりだとか音量がリセットされたり(仕様)だとか、当初はかなり不安定だった。
いくつかのファームアップを経て、今のような使いやすい状態となっていることを考えると、UP5も気長に付き合っていく必要があるのだろう。
今後、操作面が改善していくかがポイントとなる。
このまま改善しないのであれば、Shanling UP4でいい。