先月末に発表されたFiio BTR3Kがなかなか良さそうだ。
Fiio BTR5の対抗馬としてShanlingより繰り出されたのが「Shanling UP4」なのだけれど、BTR3Kのスペックを見るに十分Shanling UP4と戦えそうに見える。
「BTR1」→「BTR1K」という実績があるので、Shanling UP4への対抗としてBTR3Kを出したわけではないのだろうけども、先日のShanling UP4のアップデートで極まったところに発表というこのタイミングが、対抗心むき出しでかなり良い。
BTR3KはBTR3のアップグレード版という立ち位置でありながら、ハードやソフトでかなりのアップデートが行われており、更には値段も控えめで手も出しやすくなっている。
以下にその詳細と、Shanling UP4との比較を行っていく。
Fiio BTR3KとShanling UP4を比較
Fiio BTR3Kのスペック
まずはFiio BTR3Kのスペックを確認。
いつものように、自分が重要視するスペックを抜粋して記載する。
対応コーデック | LDAC/aptX HD/aptX LL/aptX/AAC/SBC |
BTチップ | CSR8675 |
DACチップ | AKM AK4377×2 |
Bluetooth | 5.0 |
対応端子 | 3.5mmイヤホンジャック 2.5mm バランス端子 USB Type-C (USB DAC機能搭載) |
寸法・重量 | 58×25×11mm, 23.5g |
バッテリー | 330mAh |
その他 | CVCノイズキャンセリング NFC非対応 独自アプリ対応 2機種までペアリング可能 |
BTR3と比べると以下の違いがある。
- HWA(LHDC)に非対応
- Bluetoothが「5.0」にアップグレード
- 対応端子に2.5mm バランス端子が追加
- DACチップがAK4377になり、2基搭載
- 寸法ほぼ変わらず、バッテリー増量且つ減量
Bluetoothが「5.0」になり、2.5mm バランス端子を搭載、デュアルDACを搭載しながらも寸法がほぼ変わらないうえに軽くなったという、素晴らしい進化を遂げている。
(BTR3は「58×25×10.4mm, 25g」)
HWA(LHDC)に非対応というデグレードが入っているが、そもそもHWA(LHDC)は対応機種が少ない上にLDACで96kHz/24bitが出せるということもあり、現状は非対応であるデメリットはないと言っていい。
搭載DACチップがAK4376A からAK4377に進化、更にそれを2基搭載し解像度が向上している。DACチップがアップグレードされただけでも十分なのに、デュアルDACでバランス出力も可能となれば、かなりの音質向上が望めるだろう。
ちなみにお値段はAliExpress価格で7,725円である。
Shanling UP4のスペック
紹介記事でも記載しているけど、改めて…。
対応コーデック | HWA(LHDC)/LDAC/aptX HD/aptX LL/aptX/AAC/SBC |
BTチップ | CSR8675 |
DACチップ | ESS Sabre ES9218P ×2 |
Bluetooth | 5.0 |
対応端子 | 3.5mmイヤホンジャック 2.5mm バランス端子 USB Type-C (USB DAC機能搭載) |
寸法・重量 | 60×36×13.5mm, 37g |
バッテリー | 550mAh |
その他 | CVCノイズキャンセリング NFC対応 独自アプリ対応 |
Shanling UP4の解説、使用感については以下の記事を参考にしてほしい。
ちなみにお値段はAliExpress価格で10,927円である。
スペックを比較
Fiio BTR3KとShanling UP4を比べると以下の違いがある。
- Shanling UP4はHWA(LHDC)に対応
- Shanling UP4はDACチップ・USBDACの性能が良い
- Shanling UP4はNFCに対応
- Fiio BTR3Kは小さくて軽い(バッテリーが少ない)
- Fiio BTR3Kは2機種のペアリング情報を保持できる
- Fiio BTR3Kは安い
大まかにまとめるとこんな感じ。
HWA(LHDC)への対応云々は上記でも述べた通り、LDACがあれば問題ない。
Shanling UP4はES9218Pを2基搭載しており、BTR3Kよりも高繊細高出力が可能。
またUSBDACを使用した場面ではその性能を存分に発揮することが可能。
ここはどうにも、BTR3Kに勝ち目はない。
Shanling UP4はNFCに対応しているが、使う機会なんてほぼないのでなくていい。
BTR3Kは小さくて軽いぶん、バッテリーが少ない。
が、もともとBTR3はバッテリー持ちが悪いという評判を聞かないので問題ないかと。
BTR3Kは2機種のペアリング情報を保持できるのが明確なメリットになるが、活用するところが限られるので特定のユーザのみ恩恵を得られることになるだろう。
以上のことから、Fiio BTR3Kは普段使いにおいて必要最低限の機能を有し、且つ高音質を実現するというコスパに優れた商品であることがわかる。
バランス接続でBluetoothレシーバーを試してみたい人にはこれで十分
今までバランス接続対応のミドルクラスBluetoothレシーバーは市場に存在しなかった。
バランス接続対応な物は、Shanling UP4、もしくはFiio BTR5しか無かった為、手持ちのお気に入りイヤホンがバランスケーブルの場合は、この1万円オーバーの2機種から選ぶことしか出来なかった。
AK XB10という格安商品もバランス接続対応のBluetoothレシーバーだった。
以下でレビュー記事を記載している。
しかし、Fiio BTR3Kの登場によりバランス接続が可能なBluetoothレシーバーを8千円程度で手が出せるようになり、興味はあるけど1万も出したくないな、という人でもそれなりに手を出しやすい機種となっているように思える。
音質重視であるならば間違いなくShanling UP4を選んだほうが幸せだろうけど、お試しとして扱うのならば、断然Fiio BTR3Kがオススメだ。
Bluetoothレシーバーデビューに、いかがだろうか。